北京五輪 最大の敵は大気汚染、開催延期の可能性も
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【8月10日 AFP】大気汚染により一部延期の可能性が浮上している北京五輪だが、北京五輪組織委員会(Beijing Organizing Committee for the 2008 Olympic Games、BOCOG)は9日、きれいな空気の中で選手たちに競技してもらう自信があるとアピールした。
BOCOG広報担当のSun Weide氏はAFPに対し、「(大気汚染の)問題については十分承知しているが、空気の質は五輪大会に向けて改善すると確信している。この問題には真剣に取り組んでいるし、効果も現れている」と語った。
これは国際五輪委員会(International Olympic Committee、IOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長が8日、大気汚染度が極めて悪い場合、競技の延期もあり得ると発言したことを受けたもの。
五輪開幕まで1年となった8日、ロゲ会長は北京でカウントダウン式典に出席し、9日に現地を離れた。同会長は、大気汚染が短期間の大会で選手たちに問題を与えることはないとしながらも、「自転車競技のように6時間も戦い続ける持久戦などは、延期の可能性がある」と語った。
北京は世界で最も大気汚染が深刻な都市の1つ。空気の悪さは選手や開催者にとって最大の懸案事項となっている。
1週間続いたスモッグのもやにより数百メートル先の視界も確保できず、8日のカウントダウン式典の準備が滞ったことも不安を増大させた。
ただ、カウントダウン式典の主要行事が行われた8日夜には空気の状態はやや回復。さらに翌9日はこの夏最も空気が澄んだ日となったが、空気の状態をめぐり五輪開催者が直面している予測の困難さが浮き彫りとなった。
BOCOGのSun氏は、中国政府が1998年以降、北京の空気浄化に150億ドル(約1兆8000億円)の資金を投入してきたことを強調。 これには大気汚染の原因となっていた200以上の工場の閉鎖や北京市外への移転、産業・家庭部門での石炭から天然ガスへのエネルギー転換などの措置が含まれる。
中国政府はこれらの取り組みが実を結んでいると自信をのぞかせる。実際、10年前は「空が青く澄んだ日」は年間100日もなかったが、2006年には241日まで増加したという。
その一方で、北京には厄介な大気汚染問題も残っている。それは、深刻な健康被害をもたらす光化学スモッグの定期的な発生だ。
専門家らは光化学スモッグの原因を、北京全域に数多くある建設現場から大気中に放出される塵粒のほか、市郊外で稼働を続ける石炭火力発電所や重工業の工場などによるものだと分析する。
一方で、大気汚染の改善に向けて北京市単独でできることは限られているとの指摘もある。大気汚染の大半は、市郊外の工場が密集する地域で発生しているからだ。
市内の自動車保有台数も現時点で300万台と、大気汚染をもたらす大きな要因となっている。しかも、この数字は1日当たり1200台ずつ増加しているという。
BOCOGは、開催期間中は100万台の自動車を市内から閉め出すことでこの問題に対処すると発表。同様の措置は前年、「中国・アフリカ協力フォーラム北京サミット」が開催された際、数日間にわたって実施され、大気汚染度が急激に改善したことが確認されている。
それでも、一部の選手たちの間では危険を回避する動きが出ている。オーストラリア、英国の代表選手団の一部は大会直前まで現地入りせず、閉会後はできるだけ早く現地を離れる方針を示している。
オーストラリア五輪委員会(AOC)のジョン・コーツ(John Coates)委員長は今週北京で、「われわれや選手にとっては、恐らく大気汚染が最大の敵だろう」と語った。(c)AFP
BOCOG広報担当のSun Weide氏はAFPに対し、「(大気汚染の)問題については十分承知しているが、空気の質は五輪大会に向けて改善すると確信している。この問題には真剣に取り組んでいるし、効果も現れている」と語った。
これは国際五輪委員会(International Olympic Committee、IOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長が8日、大気汚染度が極めて悪い場合、競技の延期もあり得ると発言したことを受けたもの。
五輪開幕まで1年となった8日、ロゲ会長は北京でカウントダウン式典に出席し、9日に現地を離れた。同会長は、大気汚染が短期間の大会で選手たちに問題を与えることはないとしながらも、「自転車競技のように6時間も戦い続ける持久戦などは、延期の可能性がある」と語った。
北京は世界で最も大気汚染が深刻な都市の1つ。空気の悪さは選手や開催者にとって最大の懸案事項となっている。
1週間続いたスモッグのもやにより数百メートル先の視界も確保できず、8日のカウントダウン式典の準備が滞ったことも不安を増大させた。
ただ、カウントダウン式典の主要行事が行われた8日夜には空気の状態はやや回復。さらに翌9日はこの夏最も空気が澄んだ日となったが、空気の状態をめぐり五輪開催者が直面している予測の困難さが浮き彫りとなった。
BOCOGのSun氏は、中国政府が1998年以降、北京の空気浄化に150億ドル(約1兆8000億円)の資金を投入してきたことを強調。 これには大気汚染の原因となっていた200以上の工場の閉鎖や北京市外への移転、産業・家庭部門での石炭から天然ガスへのエネルギー転換などの措置が含まれる。
中国政府はこれらの取り組みが実を結んでいると自信をのぞかせる。実際、10年前は「空が青く澄んだ日」は年間100日もなかったが、2006年には241日まで増加したという。
その一方で、北京には厄介な大気汚染問題も残っている。それは、深刻な健康被害をもたらす光化学スモッグの定期的な発生だ。
専門家らは光化学スモッグの原因を、北京全域に数多くある建設現場から大気中に放出される塵粒のほか、市郊外で稼働を続ける石炭火力発電所や重工業の工場などによるものだと分析する。
一方で、大気汚染の改善に向けて北京市単独でできることは限られているとの指摘もある。大気汚染の大半は、市郊外の工場が密集する地域で発生しているからだ。
市内の自動車保有台数も現時点で300万台と、大気汚染をもたらす大きな要因となっている。しかも、この数字は1日当たり1200台ずつ増加しているという。
BOCOGは、開催期間中は100万台の自動車を市内から閉め出すことでこの問題に対処すると発表。同様の措置は前年、「中国・アフリカ協力フォーラム北京サミット」が開催された際、数日間にわたって実施され、大気汚染度が急激に改善したことが確認されている。
それでも、一部の選手たちの間では危険を回避する動きが出ている。オーストラリア、英国の代表選手団の一部は大会直前まで現地入りせず、閉会後はできるだけ早く現地を離れる方針を示している。
オーストラリア五輪委員会(AOC)のジョン・コーツ(John Coates)委員長は今週北京で、「われわれや選手にとっては、恐らく大気汚染が最大の敵だろう」と語った。(c)AFP