【7月21日 AFP】国際自然保護連合(World Conservation UnionIUCN)によると、石油、天然ガス企業による、クジラの保護を目的とした騒音規制を無視したサハリンⅡの開発に対し、同組織のWestern Gray Whale Advisory Panelが20日、懸念を表明した。

 IUCNによって設置された同諮問機関は、石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)や三井物産三菱商事などとの合弁企業を率いる、露国営ガス企業ガスプロム(Gazprom)が作業に伴う騒音規制を無視することで、コククジラを危険にさらす可能性があるとしている。

 同機関から出された声明には、サハリン地域で操業する企業が騒音基準を無視することに対し強い懸念が示されており、より厳しい騒音の管理および軽減を行わなければ、この地域のコククジラに長期間にわたり深刻な影響が出る可能性があるとしている。 

 サハリン沖で見られるコククジラの個体群は、中国、ロシア間を移動する。IUCNによると、この個体群は、地球上でわずか2つの個体群のうちの1つだという。商業捕鯨による乱獲から回復した東太平洋では、2万頭の個体群が存在する一方で、この個体群には、120頭のクジラしか残っていないと見られている。(c)AFP