【7月10日 AFP】オーストラリア観光省は10日、「長距離旅客機が地球温暖化の大きな一因となっている」という説に対抗するキャンペーンを発表した。

 長距離便は、国外からの観光客がオーストラリアへ来るための事実上唯一の手段。それが気候変動を引き起こすとなれば、750億豪ドル(約7兆9000億円)規模の同国観光業を脅かしかねない。

 この問題に対応するためフラン・ベイリー(Fran Bailey)観光相は、「National Tourism Campaign Action Plan(国家観光キャンペーン行動計画)」の立ち上げを発表。二酸化炭素排出削減を目的とした空港での便数整理を提唱し、一部新型機に使われている環境に優しい技術を歓迎すると表明した。

 ベイリー観光相によれば、英国などオーストラリア観光の主要市場において、メディアで否定的なキャンペーンが展開され、旅客機から排出される温室効果ガスが地球温暖化に与える影響が誇張されているという。

「長距離旅客機を非常に大きな汚染源として批判する広告が英国の新聞に掲載されていたが、これは事実に反する。世界の二酸化炭素排出量に占める航空業界の割合は2%に過ぎないのに、英国では98%とする広告が多数出ている」とベイリー氏はいう。

 欧州人の好む週末旅行は環境への負荷が高く、それと比べれば、航空業界が環境に与える影響は少ないとベイリー氏は指摘。「オーストラリアでは50万人が観光業に従事している。これほど多くの雇用をもたらしている業界に、この問題で影響が出ることは望まない」と述べ、航空業界は誤った認識を正すために立ち上がるべきだと語った。(c)AFP