【6月29日 AFP】「人類による土地開発で、もはや地球上には未開の地はほとんど残っていない」とする米自然保護団体Nature Conservancyの研究結果が、米科学雑誌「サイエンス(Science)」に発表された。

■地球上に、もはや「手つかずの自然」はない

 研究結果によると、衛星から人間の居住地、耕作地、道路、夜間点灯などが確認されなかった地球上の「真の野生地」は、1995年の時点でわずか17%だった。

 地球の表面積の約半分が農地あるいは家畜の飼育に使用されているほか、地球上の森林面積の半分以上が土地転換で失われているという。また、各大陸で大型ほ乳類の絶滅が相次いで確認されている。

 大洋上には航路が張り巡らされ、ヨーロッパの海岸線2万2000キロが舗装済みだ。ダム建設が進んだ結果、自然河川の約6倍の水量が人工ダムに貯水されている状態だという。

■「自然保護」から「開発済みの環境への対策」を

 研究を主導したPeter Kareiva主任研究員は、「今後の環境保護運動は、自然保護よりも開発済みの環境への理解、およびその管理方法を考える方向に転換すべきだ」と主張する。 

 人類は都合のよい自然を取捨選択してきた結果、従来の自然システムを変えてしまった。人間のペット用の動物が繁栄する一方、マスなどの川魚は人類の消費の都合に合わせて品種改良が加えられ、生態系に大きなダメージを与える結果となった。

 アフリカでも異変が観察されている。ナミビア北部のベンゲラ(Benguela)では、魚類の乱獲によって巨大クラゲが大発生しているという。

 Kareiva氏は「もはや人間の手による影響を超えた自然の深刻な変化が、地球上のあちこちで見られる」と危惧する。(c)AFP