【6月18日 AFP】日本の排他的経済水域(EEZ)の南端の根拠となっている沖ノ鳥島の水没を防ごうと、政府はサンゴ種苗の植え付けによるサンゴの増殖計画を開始した。

 水産庁によると事業は2008年3月までの2か年計画で、予算は約5億円。「サンゴを増殖し、国土を守る」ために始められたという。

 東京の南南西1700キロにある沖ノ鳥島は日本最南端の領土として、半径二百カイリ(沿岸から約370キロ)とされるEEZの南の基点とされてきた。一方、中国との間では領海問題の焦点ともなっている。

 環礁の外周は約11キロ。国際的にはダグラス礁(Douglas Reef)の名で知られる同島では近年、波による浸食が激しく、満潮時に海面に残るのは2つの露出岩(面積数平方メートル)だけとなるため、政府は護岸コンクリートで強化するなど保護に努めてきた。

 水産庁が研究を委託した水産土木建設技術センター調査研究部の石岡昇主任研究員によると、同部のチームは5月、サンゴ種苗6株を移植した。6月中にも、数種類のサンゴ種苗が沖の島付近の小島へ運び込まれる。石岡主任研究員は「船による移送には3日半かかるので頻繁に行うことは難しいが、結果を待つ。今年以降、数万株を移植していければと期待している」と述べた。同研究所は水産庁のサンゴ増養殖技術研究プロジェクトの一部を担っている。

 一方、水産庁担当官は、地球温暖化のせいで「海面が上昇し、沖ノ鳥島が水没する可能性を(日本は)除外できない」と述べ、環礁における環境保護の目的に加え、サンゴ移植は「(沖ノ鳥島の)沈没を防ぐための手段として使えると思う」と述べた。(c)AFP

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