【6月16日 AFP】オランダのハーグ(Hague)で開催されていたワシントン条約(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and FloraCITES)の締約国会議は15日、数十種の動植物の取引制限を見直し、2週間の日程をすべて終えた。主要な決定項目は以下の通り。

 アフリカゾウ:象牙の国際取引について9年間の取引禁止で合意。この取引禁止措置は年間2万頭に上るゾウの密猟を抑制するためで、ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、南アフリカの南部アフリカ4か国は当初これに反対していたが、政府保有の象牙を1回のみ日本への輸出が許可され、その後禁輸開始となる。中国は象牙購入資格を申請予定。

 トラ:決議で中国の大規模なトラ飼育計画が批判され、「トラはその部位を取引するために飼育されるべきではない」と宣言された。中国は商業規模でトラを飼育する世界で唯一の国で、同国北東部や南西部の大規模飼育施設で約5000頭が飼育されている。一方、世界にはその約半分の個体数しか存在しない。中国政府は自発的に国内での売買を禁じたが、トラの骨から作られる強壮剤の国内売買を許可を求める国内企業からの嘆願書を検討していると明らかにした。

 サメ:商業目的で捕獲されるアブラツノザメとニシネズミザメの2種について、国際取引に制限を課す附属書Ⅱへの掲載に必要な3分の2の過半数を得られなかった。ただしノコギリエイを除く全種が全商業取引を禁止する附属書Ⅰに加えられた。

 材木:欧州連合(European UnionEU)は多数の国から強い反対があったためスギの一種Cendelaの附属書Ⅱへの掲載案を撤回した。そのほか熱帯材についての掲載案も1種を除いてすべて撤回した。掲載されたのはブラジル材で、それから作られる楽器用の弓などの一定品目は除外された。

 ウナギ:欧州や東アジアで食され絶滅が危惧されているヨーロッパウナギは、過去20年間で約90%減少。この捕獲が制限されたが、取引の保護は十分ではなく、専門家によると汚染とダムも重大な脅威となっている。

 サンゴ:採取が規制されていないアカサンゴとモモイロサンゴは地中海沖では商業用としては絶滅しており、世界の大部分で在庫も尽きようとしている。Corallium属の26種は最初の採決では保護が与えられることになったが、閉会間際にこの問題が再浮上して決定が覆された。

 クジラ:日本はCITESに対しクジラの地位見直しを迫る提案をしたが、これは否決された。この提案を自然保護論者は商業捕鯨再開への策略と非難。オオクジラ全13種が附属書Ⅰに掲載されたが、CITESはクジラ目については国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)に委ねるとした。IWCは1986年に商業捕鯨を禁止した。(c)AFP