【6月14日 AFP】1997年の中国返還後の香港で、環境汚染が急激に進んでいたことが明らかになった。環境保護団体フレンズ・オブ・アース(Friends of the EarthFoE)が14日、調査結果を発表した。

 香港が英国から返還された1997年と、2006年の大気汚染などの状況を比較したところ、スモッグの発生頻度は1997年の9日に1回から、2006年には3日に1回と約3倍に増えていた。

 廃棄物排出量、電力と水の消費量も増加した。香港で排出される廃棄物の量は25%以上も増え、平均電力消費量は18%増、水の消費量は16%増。香港の発電所が排出する温室効果ガスも1997年比で35%増加した。

 FoEの香港代表、エドウィン・ラウ(Edwin Lau)氏は「香港の人口は過去10年で5.9%しか増えていないにもかからわず、廃棄物の排出量と、電力と水の消費量はすべて2けた台の増加が見られた」と述べ、政府が主張する持続可能な開発という原則が実現していないと指摘する。

 ラウ氏は特に、大気汚染による海外に対する香港のイメージの悪化を懸念している。「空港は外国人旅行者が最初にやってくる場所。3日に1度、すすけた顔で出迎えるようでは情けない」

 香港に隣接する経済特区、深セン(Shenzhen)が急発展し、大量の工場や産業の拠点となっていることもスモッグの一因だ。

 香港最大の観光名所、ビクトリアハーバー(Victoria Harbour)の景観もスモッグで損なわれる恐れがあるとラウ氏は言う。「われわれの大切な財産が大気汚染で汚されようとしている。香港の真の美しさを取り戻すため、政府が行動しなければならない」と訴えた。(c)AFP