【6月5日 AFP】5日の世界環境デー(World Environment Day)を前に、国連環境計画(UN Environment Programme、UNEP)は4日、「過去数十年で、地表の氷の解け方が速くなっており、飲料水や農業用水の減少、海水の上昇などにより、数億人が影響を受けることになる」とする報告書を発表した。

 ノルウェーの北極圏の町トロムソ(Tromsoe)の研究者らが作成した報告書によると、過去30年間で、北極の氷は冬場で6-7%、夏場で10-12%、それぞれ減ったという。また、北半球の3-4月の冠雪地域は、7-10%縮小したという。

 報告書は、アジア地域の氷や雪が溶解すると、世界人口の40%が影響を受けると予想する。水位の上昇については、海抜の低いバングラデシュやインドネシアへの影響が特に懸念されている。

 「氷や雪は太陽の熱の70-80%を反射するが、水は100%吸収する。したがって氷や雪が溶解すると、地球温暖化が加速する」と研究者らは警告する。

 また、シベリアの永久凍土が溶けることによる地球温暖化の加速も懸念され、「シロクマの絶滅」など生態系の破壊が進むことも予想される。さらにはハリケーンや洪水、雪崩といった現象が頻発すると見られている。

 こうした現象に人々は「適応」せざるをえなくなっているのも事実。例えばグリーンランドの一部地域では、移動手段として従来の「犬ぞり」ではなく「ボート」が使われるようになっているという。(c)AFP/Gwladys Fouche