【5月29日 AFP】オーストラリア(Australia)政府は29日、日本が南極海で実施を予定している調査捕鯨を「不必要な挑発行為」だとして非難した。日本はザトウクジラ50頭を捕獲する調査捕鯨を計画中だ。

 繁殖のために南洋(Southern Ocean)から温暖なオーストラリア沿岸を目指して移動するザトウクジラは、拡大する同国のホエールウォッチング産業にとって最も重要な存在だ。マルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)環境相は「ザトウクジラをめぐる問題が、オーストラリア国内での日本に対する印象に影響するということを日本は理解すべき」と語る。

 同環境相は、国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)の年次総会が開催されている米アラスカ(Alaska)州でオーストラリア放送協会(ABC)ラジオの取材に応じ、「日本の調査捕鯨計画は、オーストラリア国民が日本に対して抱いている友情を損なうものだ」と述べた。

 ターンブル環境相は日本に対し、「調査」という名目での捕鯨をやめるよう要請した。「日本の調査捕鯨の規模は年々拡大しており、調査に必要とみなされる範囲を超えているのは明らか。また、研究のためにクジラを殺す必要性はない。現にオーストラリアは生きたままクジラの研究を行う優れた技術がある」

 国際動物福祉基金(International Fund for Animal Welfare)の推計によれば、日本は調査捕鯨で6800頭以上のミンククジラを殺しているという。

 75か国の政府高官が出席するIWC年次総会では、特に日本から商業捕鯨再開を求める声が上がっている。ターンブル環境相は「商業捕鯨停止は継続すると確信している。オーストラリアを始め各国は、保護賛成派を増やすために大変有効な外交努力を行ってきた」と語る。

 2006年の総会では、商業捕鯨を支持する拘束力のない宣言が採択されたが、日本は20年間におよぶ商業捕鯨モラトリアムを覆して商業捕鯨を再開するのに必要な票を集めることができなかった。今年の総会では、反捕鯨国がわずかな差で多数派となっているもようだ。(c)AFP

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