【5月28日 AFP】国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)年次総会が米国アラスカ州アンカレジ(Anchorage)で28日、始まる。20年間続いた商業捕鯨凍結解除を求める政治的な動きもみられるなか、75か国の代表がクジラの保護について話し合う。

 総会を前に、米国政府に対し、ノルウェー、アイスランドとともに商業捕鯨再開を主張する日本との歩み寄りを求める圧力がかかっているとの情報がある。アラスカ先住民には一定頭数のセミクジラの捕獲が認められている。この数量割当を維持するためには今総会で4分の3の賛成票が必要だが、見通しは不透明なため米国が日本に協力を求めることも予想される。

 一方で日本は、アラスカ先住民に捕鯨を認めたのと同じIWC規則を根拠に、伝統的な沿岸小型捕鯨でのミンククジラの捕鯨を認めるよう訴えている。

 米代表団のScott Smullen報道官はAFPの取材に対し、セミクジラの数量割当てについてなんらかの取引や交換条件を提示することはありえないと語った。

 日本代表団のグレン・インウッド(Glenn Inwood)報道官も、セミクジラの数量割り当てを取引の材料としたことはなく、既に米国の提案を支持する姿勢を明らかにしたと語った。「米国の提案と類似した、伝統的な沿岸捕鯨を求める日本の提案が公平に取り扱われることを求めている」と述べた。

 反捕鯨団体は、日本は自国の提案を4つの沿岸小型捕鯨地域を対象とした緊急避難的なものであり、その実態は商業捕鯨にほかならず、米国の提案とよく似た内容になるように巧妙に作成されたものだと主張している。

 総会に先立ちアンカレジで2週間にわたり開催されたIWCの科学委員会の出席者によれば、日米両国の計画はともに持続可能だという。科学委員会はセミクジラは1万頭以上生息し、年3.4%の割合で増加しており、捕鯨も可能な水準にあることを確認したと、Smullen氏は語った。

 オーストラリアやニュージーランドなどの反捕鯨国は、国の補助金による商業捕鯨の演習という実態を隠ぺいするものとして日本の調査捕鯨を強く非難している。日本は「科学的調査」として毎年1000頭以上のクジラを捕獲している。(c)AFP