【パリ/フランス 22日 AFP】黄色と茶色の縞模様をまとう彼らは、「ベスパ(Vespa)」のようにブンブン音を立てて飛び回り、朝食にはミツバチを平らげる。いまやフランス南西部全域に生息するツマアカスズメバチ(Asian hornet、別名Vespa velutina)である。

 ツマアカスズメバチは、2004年後半に中国から輸入した盆栽に紛れてやってきた。以来この「招かれざる客」はフランス南西部全域で繁殖し、いまやその生息地域を南ヨーロッパ全域に広げる勢いだ。この地域での第一発見者、アマチュア昆虫学者のJean Haxaire氏は、その繁殖力について「驚異的」であると語る。

 2005年11月に内陸部のLot-et-Garonneで発見され、現在では大西洋沿岸に広がるヨーロッパ最大の森林地帯、ランド地方(Les Landes)でも確認されている。かつて行われた観察では、全長60キロの道路沿いに85個以上の巣が発見されている。

 体長は西ヨーロッパ原生のスズメバチ「Vespa crabo」よりも小さめで、インド北部やブータン、中国の一部地域が原産。国立自然史博物館(Museum of Natural History)のClaire Villemant氏は「この冬に確認された巣の数から、このスズメバチは順応性だけでなく繁殖も非常に高いことがわかる」と語っている。

 ツマアカスズメバチの体色は赤茶色の地に黄色い縞が1本。体長は2-2.5センチで、女王蜂はそれよりもやや大き目である。羽音は大きいが、人間に対しては特に攻撃的でなく、さほどの危険はないとされている。

 写真はツマアカスズメバチ(撮影日不明)。(c)AFP/JEAN HAXAIRE