【6月6日 AFP】英俳優でコメディアンや作家としても活躍するスティーブン・フライ(Stephen Fry)氏(55)が5日、昨年に自殺を図っていた事実を明かした。海外での映画の撮影中にホテルの自室で薬物と酒を同時に服用したが、意識不明に陥ったフライ氏をプロデューサーが発見し、一命を取り留めたという。

 フライ氏は『Vフォー・ヴェンデッタ(V for Vendetta)』や『オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)』など多数の映画に出演し、英エンタメ界を代表する芸能人。英コメディー専門サイト「ブリティッシュ・コメディー・ガイド(British Comedy Guide)」に掲載されたインタビューの中で、「もう少しで死ぬところだった」と自殺未遂を告白した。

  「大量の錠剤と大量のウオツカを一緒に飲んだ。体が激しくけいれんし、肋骨(ろっこつ)が4本も折れたが、ずっと意識はないままだった。そのとき幸運にも、当時撮影中だった映画のプロデューサーがわたしの泊まっていたホテルの部屋へ訪ねて来て、意識を失っていたわたしを発見した」

 フライ氏は、うつ病と双極性障害を患っていることを公表している。今回、自殺未遂を発表することを決めたのは、精神衛生上の問題を抱える人々を支援する英慈善団体「マインド(Mind)」の代表を務める自身の責任だと感じたためだという。

 フライ氏は今回のインタビューで、双極性障害の症状について、投薬治療を受けていないときは気分が非常に高揚して3~4日間も眠らずにいられると述べている。「執筆活動でも何でも、どんどんはかどる。気持ちが大きくなり、自信満々。そんな状態の私をコントロールすることはほとんど不可能だ」

 その一方でうつ状態に陥った時には、自身が司会を務めるクイズ番組でカメラに向かって微笑みながら、心の中では「死にたい」などと考えているという。

 フライ氏は1995年にも自殺を図り、舞台を降板している。(c)AFP