【5月2日 AFP】故マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんの母キャサリン(Katherine Jackson)さん(82)がマイケルさんが急逝した翌月に企画されていた英ロンドン公演の主催者AEGライブ(AEG Live)を相手取って起こした裁判が4月29日、米カリフォルニア(California)州のロサンゼルス(Los Angeles)郡地裁で始まった。

 裁判2日目の30日、キャサリンさん側の弁護士ブライアン・パニッシュ(Brian Panish)氏は法廷で、すでにマイケルさんの死の数か月前からAEGは「無慈悲にも」利益を追求し、問題を抱えていたマイケルさんを犠牲にしたと訴えた。

 これに対しAEG側の弁護士マービン・プットナム(Marvin Putnam) 氏は、マイケルさんは自身の依存症や健康上の問題を家族や公演主催者らに隠していたと反論。3か月に及ぶとみられる今回の裁判で提出される証拠から、不眠症に苦しんでいたマイケルさんが強力な麻酔・鎮静剤「プロポフォール」を、すでに1990年代から使用し続けていながら、その事実をほとんどの人に隠していたことが明らかにされるだろうと述べた。

 また、マイケルさんが死亡した2009年6月25日、ロサンゼルスのホーンビーヒルズ(Holmby Hills)にあるマイケルさんの邸宅に最初に駆け付けた救急医療隊員のリチャード・セネフ(Richard Senneff)さんも証言台に立ち、「患者(マイケルさん)はパジャマ姿で顔には血の気がなく、極度に痩せていた。かなり具合が悪そうだった。私の目には、長患いの末に最期を迎える患者のように見えた」と語った。

 さらに、その場にいたマイケルさんの専属医コンラッド・マーレー(Conrad Murray)医師について、「ぼうぜんとした面持ちで私を見つめた」と述べ、マーレー医師は「取り乱し、顔面は蒼白(そうはく)で汗をかいていた」と証言した。このような状態にマイケルさんが陥ったのはいつかと尋ねると、マーレー医師は「たった今だ、救急車を呼んだ時だ」と答えたという。だがセネフさんが到着したとき、すでにマイケルさんの目は大きく開き皮膚は冷たく、「死亡してから1時間は経過しているように見えた」とセネフさんは語った。

 死亡当時50歳だったマイケルさんは慢性的な不眠症に悩んでおり、マーレー医師はその治療のためとしてプロポフォールを処方。マイケルさんは、その過剰摂取が原因で死亡した。

 マーレー医師は2011年にマイケルさんの死に関する過失致死で有罪となり、現在は禁錮4年の刑で服役中だ。セネフさんは同医師が被告となった裁判にも証人として出廷している。(c)AFP