【8月21日 AFP】映画『トップガン(Top Gun)』などで知られる映画監督トニー・スコット(Tony Scott)氏(68)が19日、米ロサンゼルス(Los Angeles)近郊で橋から飛び降り、死亡した。突然の訃報に映画界には衝撃が走っている。

『トップガン』や『デイズ・オブ・サンダー(Days of Thunder)』に主演したトム・クルーズ(Tom Cruise)は代理人を通じて「トニーは大事な友達だった。本当に寂しくなる」とコメントを出した。

「彼はクリエイティブなビジョンを持った人物で、映画に与えた影響は計り知れない。今は深い悲しみと思いを彼の家族とともにしている」

 また、『アメイジング・スパイダーマン(The Amazing Spider-Man)』のマーク・ウェブ(Marc Webb)監督は、スコット氏を「伝説」と呼び、ドキュメンタリー映画のマイケル・ムーア(Michael Moore)監督はスコット氏の『トゥルー・ロマンス(True Romance)』は彼の作品の中でも特に独創的だと語った。

「クリストファー・ウォーケン(Christopher Walken)とデニス・ホッパー(Dennis Hopper)のシーンは最高だった。トニー・スコットよ、安らかに眠ってくれ」

『トップガン』などに出演したヴァル・キルマー(Val Kilmer)は、スコットは「一緒に仕事をした中で一番親切な監督」だとツイート。ロン・ハワード(Ron Howard)監督も「トニー・スコットの映画はもう生まれない。悲劇的な日だ」とつぶやいた。

■多作の映画監督

 スコット監督は1944年、英国に生まれた。1970年代初めに実兄リドリー・スコット(Ridley Scott)氏の製作会社で数多くのテレビコマーシャルを手掛けたのが監督としてのスタートだった。

 1980年代半ばにトム・クルーズ主演で撮った『トップガン』が1億7600万ドル(約140億円)の大ヒット。スコット監督、クルーズともに同作品で一躍有名になり、1990年の『デイズ・オブ・サンダー』で再びタッグを組んだ。

 クルーズの若さ溢れる魅力、前途洋々な雰囲気、そして果てしないエネルギーが成功をもたらすと信じたスコット監督は、当時次のように語っている。

「トムがレーシングカーのシートに座りタバコをくわえていれば、それで大金を稼げる」

『デイズ・オブ・サンダー』は、過剰な特殊効果をハリウッドのメディアに批判されながらも、興行収入的には成功を収め1億5800万ドル(約125億円)を稼いだ。

 そのほか、スコット監督は『エネミー・オブ・アメリカ(Enemy of the State)』、『ビバリーヒルズ・コップ2(Beverly Hills Cop II)』、『スパイ・ゲーム(Spy Game)』、『アンストッパブル(Unstoppable)』、『クリムゾン・タイド(Crimson Tide)』など、次々とヒット作を飛ばした。また、兄のリドリーらと共にテレビシリーズ「グッド・ワイフ(The Good Wife)」の製作にも携わっていた。

 今後の活動としては30本以上の新作の計画があり、その中にはクルーズ主演による『トップガン2』の構想もあったという。(c)AFP/Romain Raynaldy