【9月29日 AFP】米歌手マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さん(当時50)の死をめぐり、元専属医コンラッド・マーレー(Conrad Murray)被告(58)の過失致死罪を問う裁判は28日、2日目の公判が開かれ、マイケルさんの元付き人2人が必死の救命作業の様子や、マイケルさんが死亡した直後にマーレー医師から隠ぺい行為と思われる指示を受けたことなどを証言した。

 ロサンゼルス郡上級裁判所で開かれた2日目の公判では、マーレー被告もまた、マイケルさんの健康状態は、強力な鎮痛剤プロポフォールの過剰摂取が原因で2009年6月25日に死亡する前の数週間、良好だったと繰り返し強調した。

■死の直後に「おかしな」会話

 この日、最も印象深い証言をしたのは、マイケルさんの死まで約2年間付き人を務めたマイケル・アミール・ウィリアムズ(Michael Amir Williams)氏だった。ウィリアムズ氏は、マイケルさんの死亡当日にマーレー被告から受けた、異常事態の発生を知らせる電話について、次のように証言した。「彼(マーレー被告)から『今、どこにいるんだ?』と聞かれた。『ダウンタウンにいる』と答えると、『今すぐ来てくれ。ジャクソンさんの様子がおかしい。今すぐに来て』と言われた。『今すぐ誰かをここに寄こしてくれ』とも言っていた」

 またウィリアムズ氏は、マイケルさんの死の前日にあたる24日の夜にロサンゼルスのステープルズ・センター(Staples Center)で行われたコンサートのリハーサルを回想し、死亡前日までのマイケルさんの体調は悪くなかったとの公判1日目の証言内容に同意した。「彼(マイケルさん)はやる気に満ちあふれていた。心底、すごいと思った」

 しかし、状況は一夜にして一変した。25日、マーレー被告は不眠を訴えるマイケルさんに麻酔薬を注射したとされる。その後、マーレー被告がトイレに行って戻ると、マイケルさんの呼吸は止まっていた。被告側弁護人はこのとき、マイケルさんが薬物をさらに自ら摂取したと主張している。

 ウィリアムズ氏は、マイケルさんが近くのカリフォルニア大学ロサンゼルス校医療センター(UCLA Medical Center)へ救急搬送された際には既に報道陣が待ちかまえていて、マイケルさんの3人の子どもたちをカメラから隠す必要があったと述べた。

 マイケルさんの死亡が宣告された後に、マーレー被告と交わした「おかしな」やりとりについても、ウィリアムズ氏は証言した。「わたしは廊下にいた。どんなに大変なことが起こったか、ちょっとだけ話をした」。すると「彼(マーレー被告)は、マイケルの部屋に何かのクリームがあると言った…(マイケルは)そのことを世間に知られたくないだろうと。それから、わたしか誰かの車に自分(マーレー被告)を乗せてくれれば、家に戻ってそれを取ってこようと言った」。ウィリアムズ氏はこれを断った。

 公判前の聴取では、マーレー被告が、瓶入りのプロポフォールを含む薬物や器具を、警察の到着前にマイケルさんの部屋から片付けるように依頼したという証言が得られている。

 一方、この日のもう1人の証言者、マイケルさんの元主任ガードマンのファヒーム・ムハンマド(Faheem Muhammad)氏は、マイケルさんが皮膚の治療のために定期的に医者に通っていたこと、治療の後には時々、話し方が緩慢になったり、ろれつがまわっていなかったことなどを証言した。(c)AFP/Michael Thurston