【9月28日 AFP】故マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんに対する過失致死罪で起訴された元専属医コンラッド・マーレー(Conrad Murray)被告(58)の初公判が27日、米ロサンゼルス(Los Angeles)の裁判所で行われた。被告はマイケルさんの不眠症を解消するため、強力な鎮痛剤プロポフォールを過剰投与した疑いが持たれている。

 検察側は、マーレー被告が「重大な過失」によってマイケルさんを殺害したと主張。一方の弁護側は、マイケルさんの自殺だったと主張し、検察側に真っ向から対立した。

■マイケルさんの遺体写真やもうろうとした音声も公開

 公判では、ストレッチャーに横たわったマイケルさんの遺体写真や、死亡する1か月半前に録音された、かなりもうろうとしたマイケルさんの音声が公開された。さらに死亡する数日前のリハーサル映像も流され、マイケルさんがワールドツアーや、「スリラー(Thriller)」のミュージックビデオの映画版製作を計画していたことも明かされた。

 弁護人は「マイケルさんが医師に知らせることなく、医師の許可なく、医師の指示に反して、死に至る行為を取った」と述べた。マイケルさんが被告の許可なく、眠るために6人分に相当するロラゼパムを摂取し、さらにポロポフォールを打ったと主張。薬の併用のせいで、マイケルさんはまぶたを閉じる時間もないほど一瞬で死に至ったと訴えた。

 被告は、手術の際に麻酔薬として使用されるプロポフォールを投与したことについては否定していないが、命にかかわる緊急時に「患者を見捨てた」ことについては否定している。この日の公判では、涙を流す場面もあった。

 検察側は冒頭陳述で、マイケルさんが文字通り被告に命を預けたことを証拠が示していると述べた。「その間違った信頼が、マイケルさんの命を奪った」と訴え、被告はマイケルさんに対する使命感ではなく、1か月15万ドル(約1100万円)という契約に心が引かれたと主張した。

 検察側によれば、マイケルさんが命を落とそうとしているその時に、被告は数本電話をかけ、マイケルさんが病気でロンドンでのコンサートはできないという報道を信じないようにと保険会社にメールまでしていたという。

 検察側はさらに、マイケルさんが死亡する1か月半前に、もうろうとした様子で被告と話した音声を公開し、被告はマイケルさんの体調を十分認識していたはずだと主張した。

 しかし弁護側は、被告はマイケルさんに懇願されたためにプロポフォールを投与したと反論。マイケルさんは「眠れなければリハーサルができない。リハーサルができなければ、コンサートができない。僕は終わりだ」と訴えたという。

 マイケルさんの両親のほか、兄弟も公判を傍聴した。裁判所の周囲には300人以上のファンが詰めかけ、出廷する被告に対し「人殺し」との声も上がった。被告に飛びかかろうとしたファンもいたが、警備員に取り押さえられたという報道もある。
 
 同裁判の陪審員は男性7人と女性5人。被告は有罪になれば、最長4年の禁錮刑が言い渡される可能性がある。(c)AFP/Michael Thurston