【9月23日 AFP】オーストラリア北部ダーウィン(Darwin)の裁判所は22日、先住民アボリジニで映画『クロコダイル・ダンディー(Crocodile Dundee)』や『オーストラリア(Australia)』などに出演している俳優、デヴィッド・ガルピリル(David Gulpilil、58)被告に、妻をほうきで殴って暴行した罪で禁錮1年を言い渡した。

 ガルビリル被告は前年12月、酒に酔った状態で妻ミリアム・アシュリー(Miriam Ashley)さんを暴行し、腕の骨を折った。弁護人は法廷で、被告は当時「極度の酩酊状態」にあったと主張した。警官の隣に座る被告は、痩せてあわれな姿で、法廷には夫を支援するアシュリーさんの姿もあった。

 ダーウィンのある北部特別地域(北部準州、Northern Territory)では、被告の罪状は最低でも禁錮刑となる。早期出所の条件として被告は、7か月間の飲酒リハビリプログラムの受講も命じられた。条件を満たせば、最短5か月で出所できる。

 被告は以前にも家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス、DV)で有罪となったことがある。弁護人によれば、被告には映画出演の話も幾つかあり、リハビリを受けて飲酒をやめ、俳優業に戻りたいと願っているという。

■世界的名声得るも生活貧しく

 ガルビリル被告は、1971年の『美しき冒険旅行(Walkabout)』で注目を浴び、86年の『クロコダイル・ダンディー』で世界的に知られるようになった。87年には芸術文化への貢献を評価され、勲章を授与された。以来、『裸足の1500マイル(Rabbit-Proof Fence)』など、アボリジニに対する白人入植の影響を扱った優れた作品に出演してきた。

 しかし生活は貧しく、弁護人はこの点について「悲劇」とコメント。判事は「深刻で悲しいケースだ」と表現し「本法廷では、本件はいかなる方法でも処罰できない犯罪だととらえている」と述べた上で、被告が罪を認めている点を考慮したと付け足した。

「被告の人格や経歴を無視することはできない。これほど素晴らしい貢献をした人物に罰を科すのは悲しいことだ」(c)AFP

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