【10月22日 AFP】約30年前の淫行事件に絡み、映画監督ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)氏が訪問先のスイス・チューリヒ(Zurich)で身柄を拘束された件で、同国司法警察省の広報官は21日、事前にポランスキー氏の入国を知り米国と連絡を取っていたことを明らかにした。

「9月にポランスキー氏がチューリヒを訪れるという情報を入手し、無意味な拘束を避けるため、米当局に逮捕状の有効性を確かめた。2日後、米国から逮捕状が送られてきた」と広報官は語った。

 スイス通信(ATS)はこれに先立ち、スイス当局がポランスキー氏の入国に関し米当局に9月21日に「緊急」と記したファックスを送付し、23日に返信を受け取ったと報じていた。

 広報官は、なぜ今拘束に至ったのかという批判を退けるように「すべきことをやっただけだ。条約に従う義務がある」と話した。

 ポランスキー氏はスイスにも自宅があり、休暇の際には定期的に訪れていた。

 しかし広報官は、「これまでは、ポランスキー氏がいつ入国するのか知らなかった。滞在を示すいかなる情報もなかった」として、今回は事前に入国の情報が入ったことを指摘した。

 スイスのメディアと政治家の間では、スイスの金融大手UBSが米国人の課税逃れをほう助していたことが明らかとなり両国間の関係がぎくしゃくしていたことから、当局が米国に対する印象を良くしようとしたのではないかとの憶測が流れている。(c)AFP