【6月4日 AFP】ブログで、2007年に薬物の過剰摂取で死亡したプレイボーイ(Playboy)誌の元プレイメイト、故アンナ・ニコル・スミス(Anna Nicole Smith)さんについて書いた内容が、名誉毀損にあたるとしてスミスさんの母親バージー・アーサー(Virgie Arthur)さんに訴訟を起こされた米テキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)の不動産業、リンダル・ハリントン(Lyndal Harrington)被告(53)が前週、法廷侮辱罪で拘留された。

 法律専門家によると、ブロガーがこういった訴訟の標的にされることが増加しており、「言論の自由」の限界が試されているという。

 ハリントン被告は、アーサーさんが義理の兄弟と結婚し、幼少のスミスさんを虐待したとのうそを広めたとして告訴された。その後、コンピューターの提出を命じた裁判所命令に従わなかったとして、4日間にわたって拘留された。

 ハリントン被告は、裁判所にコンピューターの提出を命じられた数日後に盗難にあい、コンピューターを盗まれたと主張したが、警察官は盗難が「狂言」だと証言。トニー・リンゼイ(Tony Lindsay)判事は、ハリントン被告に2日までにコンピューターを提出するよう命じ、応じなければ拘留すると言い渡していた。

 ハリントン被告は、暇つぶしに他人のブログに記入したコメントで、訴えられていることにショックを受けていると語った。

 多くのブロガー同様、ハリントン被告は、自分が「発行人」になるとは思わなかったし、投稿した内容について責任を問われることになるとは考えていなかった。

 ブロガーの同業組合「メディアブロガー協会(Media Bloggers AssociationMBA)」のロバート・コックス(Robert Cox)代表によると、ブロガーを相手取った訴訟は米国で2004年以降、毎年2倍のペースで増えており、これまでの裁判による賠償額は1500万ドル(約14億円)に上っている。

 コックス氏は、「多くのブロガーは、自分たちを個人と考えたり、執筆者と考えたりしているだろうが、裁判所では発行人とみなされる」と説明する。

 MBAは、ハーバード大学法科大学院(Harvard Law School)などと提携して、ブロガーに法的な権利と責任について教育するオンライン講義を開設した。(c)AFP/Kate Murphy