【6月4日 AFP】(一部更新)パリの裁判所は3日、イスラム教徒を侮辱した罪に問われていたフランスの元女優ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot、73)被告に対し、1万5000ユーロ(約240万円)の罰金刑を言い渡した。

 バルドー被告は2006年12月、当時のニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)内相に、「イスラム教徒は犠牲祭(Eid al-Adha)でいけにえの動物を解体する前に、電気麻酔を使用するべきだ」と訴える嘆願書を送っていた。

 さらにバルドーは「イスラム教徒たちにいいように操られるのは、もうたくさん。イスラム教徒は自分たちのやり方を押しつけて、私たちを、私たちの国を滅ぼしている」と語り、人権団体から反発を受けていた。

 裁判所はまた、バルドー被告に対し、反人種差別団体MRAPに1000ユーロ(約16万円)の損害賠償、ならびに「人種差別と反ユダヤ主義に反対する国際連盟(LICRA)」に陳謝のしるしとして1ユーロ(約160円)を支払うよう命じた。

 さらに、判決内容を同被告の動物保護団体「ブリジッド・バルドー基金(Brigitte Bardot Foundation)」の機関誌に掲載することも命じた。

 なお、関節炎を患っているバルドー被告はこの日の公判は欠席した。

 バルドー被告の弁護士は、被告が上告するかはわからないとした上で、「彼女は動物保護について今後も発言を続けるだろう」とコメントした。

 被告は以前、「(これらの団体に)辱められるのはうんざりだ。イスラム教徒がいけにえの動物を解体する前に電気麻酔を使用するまで、口を閉ざすつもりはない」と述べた文書を裁判所に送っている。

 動物保護活動を20年間続けているバルドー被告は、すでに同様の罪で4回、有罪判決を受けている。最初の有罪判決は1997年。フランスの「イスラム化」を批判してモスクの建設中止を求め、イスラム教徒を「侵略者」呼ばわりしたため侮辱罪に問われた。

 2004年には、著書『怒りと絶望(Un Cri Dans le Silence)』の中で、人種差別発言をしたとして、パリの裁判所から5000ユーロ(約80万円)の罰金刑を言い渡された。

 フランスは、欧州最大のイスラム教コミュニティを抱え、その数は推定500万人とされている。(c)AFP