【3月10日 AFP】英国で最も権威ある演劇賞といわれるローレンス・オリビエ賞（Laurence Olivier Awards）の授賞式が9日、ロンドン（London）で開催され、ミュージカル『ヘアスプレー（Hairspray）』が4冠を達成した。

　同ミュージカルに出演したLeanne Jones（22）が主演女優賞（ミュージカル部門）、マイケル・ボール（Michael Ball）が主演男優賞（ミュージカル部門）、トレイシー・ベネット（Tracie Bennett）が助演俳優賞（ミュージカル部門）にそれぞれ輝き、作品として新作ミュージカル賞を受賞した。

　ノミネートとしては過去最多の10部門を記録したが、受賞部門数については1980年の『Nicholas Nickleby』が保持する6部門の記録に及ばなかった。

　『ヘアスプレー』は、ボルティモア（Baltimore）出身でスターを目指すぽっちゃり少女トレーシー・ターンブラッド（Tracy Turnblad）の奮闘記に、人種差別などの1960年代の米国の政治的問題やユーモアを交えたストーリー。

　ミュージカル部門の主演女優賞を獲得したJonesは、1年前まで銀行のコールセンターで働き、同ミュージカルで女優としてデビューしたばかり。受賞スピーチでは「この瞬間をずっと夢に見てきた。この12か月間で起こったことが信じられない」と語った。

　同ミュージカルは、2月に行われたWhat's On Stage誌が主催して一般の舞台ファンが選ぶ「Theatregoer's Choice Awards」でも7つの賞を獲得していた。さらにトニー賞では8部門に輝き、批評家もこぞって高く評価している。ブロードウェーからスタートしたミュージカルだが、2007年10月からロンドンのシャフツベリー劇場（Shaftesbury Theatre）で週8回上演されている。2007年にはミシェル・ファイファー（Michelle Pfeiffer）とジョン・トラヴォルタ（John Travolta）共演で映画化された。

　ローレンス・オリビエ賞は、Society of London Theatres（SLT）が1976年から主催しているもので、年間30公演以上を行う新作舞台を評価対象にしている。賞の名前は英国の名優ローレンス・オリヴィエ（Laurence Olivier）に由来したもの。

　ミュージカル以外の舞台では、『かもめ（The Seagull）』のクリスティン・スコット・トーマス（Kristin Scott Thomas）が主演女優賞に、『オセロ（Othello）』のキウェテル・イジョフォー（Chiwetel Ejiofor）が主演男優賞に、『マクベス（Macbeth）』を手掛けた（Rupert Goold）が演出賞に輝いた。

　また、アンドリュー・ロイド・ウェバー（Andrew Lloyd Webber）には「この数十年間の功績と世界中で新しい観客を舞台に惹きつけたその役割」として、特別賞が授与された。(c)AFP