【11月23日 AFP】ビートルズ(The Beatles)が英デッカ・レコード(Decca)のオーディションで落選した話は、音楽史上最大の失敗談として有名だが、この時の未公開デモテープが来週競売にかけられることが23日、英紙報道で明らかになった。

 このデモテープは1961年1月1日、ロンドン(London)のウエストハムステッド(West Hampstead)にあるデッカ・レコードのスタジオで録音されたもの。ビートルズのデッカ・オーディションテープは過去に多数の海賊版が出ているが、今回出品されるのはオーディションで演奏された全10曲を収録した正真正銘のマスター・デモテープで、これまで聴いたことのある人はわずかしかいないという。

 当時「シルバー・ビートルズ(Silver Beatles)」の名で活動していたジョン・レノン(John Lennon)、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)、ジョージ・ハリソン(George Harrison)、ピート・ベスト(Pete Best)の4人は、オーディションを受けるためリバプール(Liverpool)からロンドンへやって来て演奏を行った。だが、デッカで専属アーティスト・曲目部門を担当していたディック・ロウ(Dick Rowe)は彼らの演奏が気に入らず、別のグループ「トレメローズ(The Tremeloes)」と契約した。

 その後、ビートルズは英EMIと契約し、世界的な人気バンドとして大成功したことは周知の通りだ。

■正真正銘のオリジナル、聴けるのは落札者だけ…?

 オークションはロンドンのロック・映画専門競売会社フェーム・ビューロー(Fame Bureau)が27日に開催する。提示価格は3万ポンド(約390万円)。

 当初、このデモテープは当時ビートルズのマネージャーだった故ブライアン・エプスタイン(Brian Epstein)が保有していたが、後にEMI関係者の手に渡り、この人物が2002年にプライベートオークションに出品。このほど再び日の目を見ることとなった。

 英紙タイムズ(The Times)の報道によると、フェーム・ビューローのテッド・オーウェン(Ted Owen)氏はマスター・デモテープについて「これまで公開されたことはなく、1本しか存在しない。音質も非常にクリアで、複数の専門家からビートルズのデッカ・オーディションの録音としては最高の音質だとのお墨付きを得た」と述べた。

 テープには「マネー(Money (That's What I Want))」「Take Good Care Of My Baby」「ティル・ゼア・ウォズ・ユー(Till There Was You)」などが収録されている。

 ただ、オーウェン氏によると収録曲の著作権は全て、ビートルズが設立したアップル・レコーズ(Apple Records)にある。このため、デモテープの落札者が無断で収録曲を公開したり販売すれば、処罰の対象になるという。
 
 ちなみに、ビートルズを落としたロウだが、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)とは契約を交わしている。(c)AFP