【5月28日 AFP】欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)2012」決勝でロシアのおばあちゃんコーラスグループが見事2位に輝いたことに、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領がいたく感激している。おばあちゃんたちの故郷の村を訪ねる意向も表明した。

 メンバー最高齢は76歳という「ブラノフスキエ・バブシュキ(Buranovskiye Babushki、ブラノボ村のおばあちゃん)」は27日、アゼルバイジャンの首都バクー(Baku)で行われた決勝でディスコ調の曲「パーティー・フォー・エブリバディ(Party for Everybody)」を英語と出身地ウドムルト(Udmurt)の言葉フィン・ウゴル(Finno-Ugric)語で披露し、観客の心をとらえた。

 これを受けて露通信社は同日、大統領府の声明として、おばあちゃんたちがコンテストで見せた「才能と情熱」にプーチン大統領が喜んでいると伝えた。特に、ロシア中部ウドムルト共和国の少数言語で歌を披露した点について、「わが国の多民族文化を素晴らしい方法で広めた」と称えたという。

 声明によると、プーチン大統領は近日中にもブラノボ村を訪問し、個人的におばあちゃんたちと面会したい意向だ。村人の暮らしぶりや、村にはテレビが1台しかないという噂が真実かどうかを確かめたがっているという。

 伝統を重んじるロシアのおばあちゃんたちの思いがけない快挙には、ロシア全土が熱狂した。伝統衣装姿で歌うおばあちゃんたちの映像は国営テレビで何度も放映され、決勝日には地元ブラノボ村でも、たった1台のテレビがある集会場に大勢の村人が集まりコンテストの行方を見守った。

 村は、みやげ品としておばあちゃんたちの人形の販売も始めた。さらには、おばあちゃんたちの成功を記念した教会の建設も進められている。

 名声を手にしたおばあちゃんたちだが、全員これまで地に足をつけた生活を送ってきた人々だ。ウシの乳搾りや教師、保育士、会計係などで生計を立ててきた。建築、農業、工場での仕事など複数の業界を経験したおばあちゃんもいる。あるメンバーの娘はロシアテレビの取材に、「母は(コンテストが開かれた)バクー滞在中も、ジャガイモの育ち具合やウシの様子をずっと心配していた」と語った。

 今は引退し、のんびりと家畜を育てたりさまざまな計画を練って暮らしているコーラスグループのメンバーたち。最年少でリーダーを務めるオルガさん(43)は、AFPが4月に行った取材で「みんな、これまでの人生で仕事以外の経験をしてこなかった。だから、コーラスという幸せを得ることができるのは素晴らしいこと」と語っている。(c)AFP

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【動画】コンテスト出場前にAFPが取材(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)