【3月1日 AFP】米国を拠点とするユダヤ人権利擁護団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(Simon Wiesenthal Center)」は、ナチス(Nazi)親衛隊(SS)の制服にそっくりの衣装でインタビュー番組に出演したとして、日本の人気バンド「氣志團(Kishidan)」や番組を放映した音楽専門チャンネルMTVジャパン(MTV Japan)などに謝罪を要求した。

 サイモン・ウィーゼンタール・センターは、氣志團が2月23日に放送されたMTVジャパンの番組「メガベクトル(Megavector)」に、ナチス親衛隊そっくりの衣装を着て出演したことに対し、「衝撃と失望」を表明した。

 同団体幹部でユダヤ教ラビ(指導者)のエブラハム・クーパー(Abraham Cooper)師はMTVジャパン、アーティストマネージメント会社ソニー・ミュージックアーティスツ(Sony Music Artists)、エイベックス・グループ(Avex Group)に対する抗議声明で、「このような暴挙は許されない」と述べ、氣志團ならびに関係する全団体に謝罪を要求した。

「日本を30回以上訪問した経験から、多くの若い日本人が、第2次世界大戦(World War II)中にアジアを占領した大日本帝国の犯した人道に対する罪について不十分な教育しか受けていないことは良く知っている。ましてやナチス・ドイツによる欧州のユダヤ人の大虐殺である『最終解決』について知っているはずはない。しかし、MTVやソニーミュージックのようなグローバル企業は知らなければならないことがらだ」(クーパー師)

 また、「十代を飢えや退廃、拷問に苦しみながら過ごし、『ユダヤ人に生まれた罪』で家族が殺されるのを目の当たりにした」ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の生存者1名を日本に派遣し、MTVジャパンのインタビューに応じさせる用意もあると述べた。(c)AFP