【3月3日 AFP】英ロックバンド、オアシス(Oasis)は、ギタリストのノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)が12年前、チベット独立運動団体「フリー・チベット(Free Tibet)」が主宰する慈善コンサートに出演したことを理由に、中国政府から同国内で予定されていた公演を禁止されたと発表した。

 2日、オアシスのウェブサイトに発表された声明によると、中国当局は4月3日と5日に北京(Beijing)と上海(Shanghai)で予定されていた2公演の主催者に突然キャンセルを命じた。同ツアーはオアシス初の中国本土公演となるはずだった。オアシス側は「中国当局のキャンセル行為は以前の決定事項を覆すもので、オアシスも興行側も困惑している」と説明している。

 一方、中国ツアーの主催者広報は、コンサートの中止は経済危機による業績悪化のためで、中国政府の指示によるものではないとしている。

 しかし、オアシス側は前週28日に、中国政府がチケット販売を中止し、購入済みのチケットは払い戻しをするよう命じたことを知らされたという。承認されていた中国国内でのオアシスの公演許可も取り消された。 

 7日の香港公演を含むオアシスのほかのアジアツアー日程は予定どおり進められるという。

 ボーカルのリアム・ギャラガー(Liam Gallagher)とノエルのギャラガー兄弟は挑発的な言動では有名だが、政治的良心による行為から中国の敵になるとは考えにくい。

 ノエルは過去に、同じ英国のロックバンド、ラディオヘッド(Radiohead)のボーカル、トム・ヨーク(Thom Yorke)が社会問題への関心を集めるために、音楽を利用していると批判したことさえある。また英音楽誌NMEのインタビューでノエルは、U2のボーカリスト、ボノ(Bono)について、「アフリカの話はいいから、黙って『ワン』(U2のヒット曲)でも歌ってろよ」と「アドバイス」したこともある。(c)AFP/D'Arcy Doran