【8月11日 AFP】(一部更新)米ファンク、ソウル界で活躍した伝説的なミュージシャン、アイザック・ヘイズ(Isaac Hayes)さんが10日、テネシー(Tennessee)州メンフィス(Memphis)の自宅で死去しているのが発見された。65歳だった。警察当局が発表した。

 ヘイズさんは歌手だけでなく作詞家、作曲家としても知られる才能豊かなアーティストだった。1972年には作曲家としてアカデミー賞を獲得している。

 10日午後1時頃、自宅の寝室の床で倒れているところを家族に発見されたという。2006年には脳梗塞で倒れている。地元警察によると、犯罪の可能性はなく検視解剖も予定されていないという。

 ヘイズさんは1942年8月20日、テネシー(Tennessee)州コヴィントン(Covington)の小作農の家に生まれた。その貧しい生い立ちを忘れず、成功後に育った場所と同じ綿畑を見渡せる家を東メンフィスに建てている。

 5歳のときから教会で歌い始めた。高校のときの進路指導教員がヘイズさんの才能に気づき、タレントショーに出てみるように説得したという。
 
 1962年に高校を卒業後、7つの大学の声楽の奨学金を獲得したが専門的な教育は受けず、スタックス・レコード(Stax Record)に所属。サム&デイヴ(Sam & Dave)やオーティス・レディング(Otis Redding)、Booker T & the MG'sといったR&B界の大御所と仕事をするようになった。

 1966年にはスタックス・レコード希望の星として人気を博し、その後数年間はデイヴィッド・ポーター(David Porter)とコンビを組み約200曲の作曲を手掛けた。

 81週連続でポップチャートにランクインした『Hot Buttered Soul』は、ソウル音楽を初めて芸術として音楽業界に広めたアルバムとなった。

 1971年に映画『黒いジャガー(Shaft)』のテーマ曲「シャフト(Shaft)」で、アカデミー賞、3つのグラミー賞、ゴールデングローブ賞、欧州の名誉ある音楽賞「エディソン賞」を受賞した。

 俳優としても活動するようになり、「ロックフォードの事件メモ(The Rockford Files)」や「特捜刑事マイアミ・バイス(Miami Vice)」などのテレビドラマにゲスト出演した。また、映画『ニューヨーク1997(Escape from New York)』や『ハッスル&フロウ(Hustle & Flow)』にも出演した。

 1986年にコロンビア(Columbia)と新たに契約、アルバム『U-Turn』で音楽チャートに返り咲いた。

 1997年、コメディ・セントラル(Comedy Central)の人気アニメ「サウスパーク(South Park)」でシェフ役の声を担当するようになったが、ヘイズさんが90年代から信仰してきたサイエントロジーをめぐる制作側との見解の相違から2006年に番組を降板した。(c)AFP