2007年英国ロックシーンは「ベテラン勢復活」の年
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【12月31日 AFP】2007年の英国ロックシーンは「和解」と「再結成」が大流行。ベテランミュージシャンの活躍が目立つ年となった。
■多数の大物ロックバンドが再結成
中でも特筆すべきは、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)が10日にロンドン(London)で行った一夜限りの再結成ライブだ。ツェッペリンはドラマーのジョン・ボーナム(John Bonham)の死亡後、1980年に解散している。
バンドは9月、前年死去したアトランティック・レコーズ(Atlantic Records)の創設者アーメット・アーティガン(Ahmet Ertegun)氏を追悼するためコンサートを開催することを発表し、「同じステージに立つことは2度とないだろう」と思っていた多くのファンを驚かせた。
ツェッペリン以外にも、今年は数々の名バンドが再結成を果たし、大成功を収めている。
ポリス(The Police)は解散から20年を経て再結成を発表。メンバー間の確執から、ファンの多くは再結成はありえないと思っていた。
ボーカルでベースのスティング(Sting)とドラムのスチュワート・コープランド(Stewart Copeland)が米国ツアー中に衝突。1986年、最高傑作となるアルバムをレコーディング中に解散した。
だが年齢とともに性格が丸くなったこと、そしてもちろん、再結成により得られる巨額の富を背景に、5月にワールドツアーを開始。ツアーは2008年まで続くことになっている。
ジェネシス(Genesis)はフィル・コリンズ(Phil Collins)とオリジナルメンバー2人による大規模ツアーを開始。ルー・リード(Lou Reed)も精力的に活動し、ヴァン・ヘイレン(Van Halen)は22年ぶりにオリジナルシンガーのデイヴ・リー・ロス(Dave Lee Roth)を迎えライヴを行った。
■高額チケットでもファンは大挙
セックス・ピストルズ(Sex Pistols)は11月8日にロンドンでライブ。ブラック・サバス(Black Sabbath)はヘヴン・アンド・ヘル(Heaven and Hell) のバンド名でワールドツアーに臨んだ。イーグルス(Eagles)はニューアルバムを発表している。
そのほかにも、スライ・アンド・ザ・ファミリーストーン(Sly and the Family Stone)、ザ・フー(The Who)、イギー・ポップ&ストゥージズ(Iggy Pop and the Stooges)など往年の名バンドが活動を再開。高額チケットにもかかわらず、ライヴ会場には大勢のファンが詰めかけた。
■ブームの背景にあるもの
こうした再結成ブームの背景にあるものを、2人の大物ロッカーが端的に言い表している。ニール・ヤング(Neil Young)のヒット曲「ヘイ・ヘイ、マイ・マイ(Hey Hey, My My」の歌詞「Rock and Roll will never die(ロックは絶対に滅びない)」と、フランク・ザッパ(Frank Zappa)のヒットアルバムのタイトル「ウィー・アー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マニー(We're Only in It For the Money、金のためにやってるだけ、の意味)」がそれだ。
クラシック・ロック(Classic Rock)誌の編集人スコット・ローリー(Scott Rowley)氏は「ここ数年、再結成を歓迎する風潮がシーンにあるようだ」と語る。
「以前は再結成などみっともない、レトロ趣味だ、といった悪評にさらされるのがオチだったが、今はそれがない。また、巨額の金が動くことも再結成の流行に影響しているだろう。レコード会社の話を信じるなら、業界でいま一番金になるのは『ツアー』だ。昨今はレコードの売上は伸び悩んでいて、ツアーがミュージシャンにとっての最大の収入源となっている」(ローリー氏)
また、再結成ツアーやライヴは「一夜限り」の性格があるため、そしてファンも40代、50代になって自由に使えるお金が増えたため、チケットやグッズが高額で取引されるという側面もある。
さらに、再結成ツアーをきっかけに全盛期の作品が再び脚光を浴び、CDやDVDの再発や売上増といった現象も起きている。
■80年代のトップバンドも続々復活
往年のロッカーの活躍に触発され、今年は若い世代のミュージシャンの復活劇も多く見られた。
ザ・ヴァーヴ(The Verve)、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)、ハッピー・マンデーズ(The Happy Mondays)、スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)、ジーザス・アンド・メリー・チェイン(The Mary Chain)、スパイス・ガールズ(The Spice Girls)といった80年代から90年代にかけてシーンを席巻したミュージシャンが、再びシーンに戻ってきた。
ガーディアン(Guardian)紙で音楽面を担当するアレクシス・ペトリディス(Alexis Petridis)氏は、国内有数の野外フェスティバル「グラストンベリー(Glastonbury)」を例に、かつてのスターが新人を凌駕した今年の英ロックシーンを次のように評している。
「仕事に精を出してようやくゆっくりできる週末、ロックでも聴いて楽しもうと思ったら、最もエキサイティングで、最も予測がつかなくて、最も破壊的なのは、新人ミュージシャンではなく何と60代のおじさんミュージシャンだった・・・こいつはちょっとまずい状況じゃないか」
■次なる再結成は?
クラシック・ロック誌のローリー氏は2008年に再結成の可能性のあるバンドの1つとして、ロジャー・ウォータース(Roger Walters)抜きのピンク・フロイド(Pink Floyd)を上げた。
そのほかにも、70年代に活躍したロッド・スチュワート&フェイセズ(Rod Stewart and The Faces)、80年代に活躍したザ・スミス(The Smiths)、ザ・ジャム(The Jam)にも再結成の期待がかかっている。(c)AFP/Adam Plowright and Paul Ricard
■多数の大物ロックバンドが再結成
中でも特筆すべきは、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)が10日にロンドン(London)で行った一夜限りの再結成ライブだ。ツェッペリンはドラマーのジョン・ボーナム(John Bonham)の死亡後、1980年に解散している。
バンドは9月、前年死去したアトランティック・レコーズ(Atlantic Records)の創設者アーメット・アーティガン(Ahmet Ertegun)氏を追悼するためコンサートを開催することを発表し、「同じステージに立つことは2度とないだろう」と思っていた多くのファンを驚かせた。
ツェッペリン以外にも、今年は数々の名バンドが再結成を果たし、大成功を収めている。
ポリス(The Police)は解散から20年を経て再結成を発表。メンバー間の確執から、ファンの多くは再結成はありえないと思っていた。
ボーカルでベースのスティング(Sting)とドラムのスチュワート・コープランド(Stewart Copeland)が米国ツアー中に衝突。1986年、最高傑作となるアルバムをレコーディング中に解散した。
だが年齢とともに性格が丸くなったこと、そしてもちろん、再結成により得られる巨額の富を背景に、5月にワールドツアーを開始。ツアーは2008年まで続くことになっている。
ジェネシス(Genesis)はフィル・コリンズ(Phil Collins)とオリジナルメンバー2人による大規模ツアーを開始。ルー・リード(Lou Reed)も精力的に活動し、ヴァン・ヘイレン(Van Halen)は22年ぶりにオリジナルシンガーのデイヴ・リー・ロス(Dave Lee Roth)を迎えライヴを行った。
■高額チケットでもファンは大挙
セックス・ピストルズ(Sex Pistols)は11月8日にロンドンでライブ。ブラック・サバス(Black Sabbath)はヘヴン・アンド・ヘル(Heaven and Hell) のバンド名でワールドツアーに臨んだ。イーグルス(Eagles)はニューアルバムを発表している。
そのほかにも、スライ・アンド・ザ・ファミリーストーン(Sly and the Family Stone)、ザ・フー(The Who)、イギー・ポップ&ストゥージズ(Iggy Pop and the Stooges)など往年の名バンドが活動を再開。高額チケットにもかかわらず、ライヴ会場には大勢のファンが詰めかけた。
■ブームの背景にあるもの
こうした再結成ブームの背景にあるものを、2人の大物ロッカーが端的に言い表している。ニール・ヤング(Neil Young)のヒット曲「ヘイ・ヘイ、マイ・マイ(Hey Hey, My My」の歌詞「Rock and Roll will never die(ロックは絶対に滅びない)」と、フランク・ザッパ(Frank Zappa)のヒットアルバムのタイトル「ウィー・アー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マニー(We're Only in It For the Money、金のためにやってるだけ、の意味)」がそれだ。
クラシック・ロック(Classic Rock)誌の編集人スコット・ローリー(Scott Rowley)氏は「ここ数年、再結成を歓迎する風潮がシーンにあるようだ」と語る。
「以前は再結成などみっともない、レトロ趣味だ、といった悪評にさらされるのがオチだったが、今はそれがない。また、巨額の金が動くことも再結成の流行に影響しているだろう。レコード会社の話を信じるなら、業界でいま一番金になるのは『ツアー』だ。昨今はレコードの売上は伸び悩んでいて、ツアーがミュージシャンにとっての最大の収入源となっている」(ローリー氏)
また、再結成ツアーやライヴは「一夜限り」の性格があるため、そしてファンも40代、50代になって自由に使えるお金が増えたため、チケットやグッズが高額で取引されるという側面もある。
さらに、再結成ツアーをきっかけに全盛期の作品が再び脚光を浴び、CDやDVDの再発や売上増といった現象も起きている。
■80年代のトップバンドも続々復活
往年のロッカーの活躍に触発され、今年は若い世代のミュージシャンの復活劇も多く見られた。
ザ・ヴァーヴ(The Verve)、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)、ハッピー・マンデーズ(The Happy Mondays)、スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)、ジーザス・アンド・メリー・チェイン(The Mary Chain)、スパイス・ガールズ(The Spice Girls)といった80年代から90年代にかけてシーンを席巻したミュージシャンが、再びシーンに戻ってきた。
ガーディアン(Guardian)紙で音楽面を担当するアレクシス・ペトリディス(Alexis Petridis)氏は、国内有数の野外フェスティバル「グラストンベリー(Glastonbury)」を例に、かつてのスターが新人を凌駕した今年の英ロックシーンを次のように評している。
「仕事に精を出してようやくゆっくりできる週末、ロックでも聴いて楽しもうと思ったら、最もエキサイティングで、最も予測がつかなくて、最も破壊的なのは、新人ミュージシャンではなく何と60代のおじさんミュージシャンだった・・・こいつはちょっとまずい状況じゃないか」
■次なる再結成は?
クラシック・ロック誌のローリー氏は2008年に再結成の可能性のあるバンドの1つとして、ロジャー・ウォータース(Roger Walters)抜きのピンク・フロイド(Pink Floyd)を上げた。
そのほかにも、70年代に活躍したロッド・スチュワート&フェイセズ(Rod Stewart and The Faces)、80年代に活躍したザ・スミス(The Smiths)、ザ・ジャム(The Jam)にも再結成の期待がかかっている。(c)AFP/Adam Plowright and Paul Ricard