【6月24日 AFP】大雨で会場が泥沼と化す中盛り上がる3日間の野外音楽イベント「グラストンベリー・フェスティバル(Glastonbury festival)」は24日、英国ベテランロックバンドのザ・フー(The Who)が最終日を飾る。

 1964年に結成され『マイ・ジェネレイション(My Generation)』などのヒット曲で知られるザ・フーだが、37年の歴史を持つグラストンベリー・フェスティバルには今まで出演したことがなかった。メイン会場ピラミッドステージ(Pyramid stage)に立つザ・フーはイベントの目玉バンドとなる。

 イベント2日目の23日夜には米国ロックバンドのザ・キラーズ(The Killers)がライトと花火の輝きに包まれる中名曲『All These Things That I’ve Done』を演奏し、トリを飾った。ザ・フーも素晴らしい演奏をみせるだろう。

 フェスティバルは毎年、英南西部サマセット(Somerset)州にある320ヘクタールのWorthy Farmで開催される。

■泥にはまって数百人けが

 フェスティバルが開かれる中警察は、薬物中毒の疑いで26歳の男性が死亡し、薬物摂取の疑いなどで134人の逮捕者があったと発表した。数百人は泥に足を取られ軽傷を負った。

 イベント2日目には雨にもかかわらず、英ロックバンド、マキシモ・パーク(Maximo Park)が出演する泥だらけの会場には18万人にも及ぶ観客が押し寄せた。観客の中には泥レスリングに興じるものもいた。

 その前に行われたベイビーシャンブルズ(Babyshambles)のステージで、ボーカルのピート・ドハーティ(Pete Doherty)の婚約者ケイト・モス(Kate Moss)がボーカルとして登場していた。

 他の会場では、1980年代に活躍した英国スカバンド、マッドネス(Madness)の曲に合わせ、約3万人もの参加者が大規模な集団キス世界記録に挑戦していた。

「私にとって初めてのグラストンベリーです、予想以上に素晴らしい」とAFPの取材に語るのはノルウェーから訪れた25歳の学生。

「私は泥にまみれることを心配していました。そんなことじゃ楽しめないよってみんなに言われました。本当に良い雰囲気です。泥のせいで時間がかかってしまって、行きたいところへ行けないとしてもね」

■大雨をものともしない観客

 前回開催の2005年のフェスティバルでは、数百ものテントが鉄砲水で流されてしまった。主催者側は今年はそれほど悪くなく、洪水防止対策も施したと主張した。

 イベント創設者のMichael Eavisさん(71)は「誰もが楽しい時を過ごしているようです。鉄砲水で気分まで流されるわけではありませんから」と語った。

 多くの女性来場者は大きいサングラス、ホットパンツと泥だらけのタイツを身につけ、男性の多くは汚れたTシャツ、サングラスと帽子を身につけていたが、スーパーヒーローのコスチューム、皮のキルト、ソンブレロ、クジャクの羽、ぴったりとした服を着た風変わりな服装の男性も見受けられた。

「人々は流れに身を任せ、雨が降っていてもわざわざ走って避難したりせず、外に立っていたりと気にしないようでした」とサマセット(Somerset)出身のIT関連企業で働く32歳のSimon Besleyさんは泥だらけのテントの外でAFPのインタビューに答えた。

 英国の気象庁天気本部は、24日に再び雨模様になると予測。予報士はイベント終了前までに80ミリメートル近くの雨が降るという。

 イベント最終日のラインナップはカイザー・チーフス(Kaiser Chiefs)、マニック・ストリート・プリーチャーズ(Manic Street Preachers)、シャーリー・バッシー(Shirley Bassey)、ジェイムス・モリソン(James Morrison)、ボブ・マーリー(Bob Marley)の息子マーリー・ブラザーズ(Marley Brothers)、ザ・ウォーターボーイズ(The Waterboys)なども名を連ねる。

 開幕日にはアークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)、カサビアン(Kasabian)やビョーク(Bjork)などが登場している。(c)AFP/Robin Millard