【8月24日 AFP】映画「バットマン(Batman)」シリーズ新作の主演に米人気俳優ベン・アフレック(Ben Affleck、41)が起用されたことを知り、シリーズのファンたちは怒りの声を上げている。ネット上では配役の変更を求める署名活動が立ち上がり、マイクロブログのツイッター(Twitter)でも非難の声が相次いだ。

 署名募集サイト「change.org」では、2万人以上が配給会社のワーナー・ブラザーズ(Warner Bros.)にアフレック降板を求める署名を行った。署名の文面には「彼の演技力はブルース・ウェイン(Bruce Wayne)になりきるためには完全に不足しており、キャラクターへの不当な評価だ。バットマン役に必要な筋肉もなければ、迫力もない。『デアデビル(Daredevil)』ではひどい演技を見せ、アクションスターにはほど遠い。誰か他の人を起用してください」と書かれている。

 ツイッターでは、ハッシュタグ「#BetterBatmanThanBenAffleck」(ベン・アフレックよりましなバットマン)を付けた投稿が相次いだ。ユーザーらが挙げた代役には、ジョシュ・ブローリン(Josh Brolin)や、アフレックの旧友マット・デイモン(Matt Damon)といった俳優の他、女優のメリル・ストリープ(Meryl Streep)といった奇妙な提案まで飛び出した。

 一方で、アフレックの起用を弁護する人々もいる。心理学専門の大学教授で、バットマンと心理学に関する著作を持つトラビス・ラングリー(Travis Langley)氏はツイッターに「思い出して欲しい。『マイケル・キートン(Michael Keaton)にバットマン役は無理』『ヒース・レジャー(Heath Ledger)にジョーカー役は無理』『アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)にキャットウーマン役は無理』」と投稿し、過去のバットマン映画で当初は批判された配役も、最終的には称賛されたことを指摘した。

 映画批評家のジャスティン・チャン(Justin Chang)氏は米業界誌バラエティ(Variety)の中で、アフレックは『ザ・タウン(The Town)』や『アルゴ(Argo)』で監督として名誉を挽回したものの、役者としての評判は、酷評された『デアデビル』や『ジーリ(Gigli)』といった出演作が多くの人の記憶に鮮明に残ったままだと指摘している。

 しかしその一方でチャン氏は、こういった疑念がもたらすかもしれないメリットにも触れた。「ベン・アフレックはこれまで、『威厳』ではなく『もろさ』を表現することで、役者としての評価を得てきた。この『もろさ』は、銀幕のスーパーヒーローを演じるに当たって不可欠かつ、過小評価されがちな要素だ」

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