【2月28日 AFP】先日の第85回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式で司会を務めたセス・マクファーレン(Seth MacFarlane)氏は26日、再び司会を引き受けることは「絶対にない」と述べた。ただ、アカデミー賞の司会は楽しかったと断言している。同氏のアカデミー賞司会者としてのパフォーマンスは、攻撃的でさえなかったとして各方面から批判を招いていた。

 マクファーレン氏はテレビアニメ『ファミリー・ガイ(Family Guy)』や、口汚いクマのぬいぐるみが主人公の映画『テッド(Ted)』の製作者で、コメディアンでもある。授賞式では女優の乳房やハリウッドの映画業界で働くユダヤ人についてコメントしたことが、メディアやインターネット上で酷評されている。

 ハリウッドで最も威厳ある賞とされるアカデミー賞(Academy Awards)を主催する業界団体、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)がマクファーレン氏を司会に起用したのは、より若年層の視聴者を引き付けようとの狙いからとみられている。

 視聴率から判断すれば、この策は功を奏したといえる。メディア視聴行動に関する調査分析サービスを提供するニールセン(Nielsen)によると、米国内の視聴率は前年比11%上昇。4000万人以上が授賞式のテレビ中継を見たことになる。

 しかし、マクファーレン氏はマイクロブログのツイッター(Twitter)でファンから「もう一度司会をする?」と問われ、「するわけないよ!楽しかったけれどね」と答えた。

 同氏は、授賞式直前に受けたインタビューでも「うまくいっても、もう一度司会を引き受けられるとは思えない」と述べ、来年以降の司会は恐らくないとの考えを示していた。「僕には他にやらなくてはならないことがあり、(アカデミー賞の司会は)あまりにも荷が重い。司会をするのは本当に嬉しいし、きっと終わった後も司会を務めた事実にワクワクしているだろう。でも、たとえ成功に終わって会場を出たとしても、僕にとっては本当に一度だけのことだと思う」

 マクファーレン氏の司会ぶりについては、授賞式のオープニング部分が長すぎたとの厳しい批判がある。また同氏が、映画作品にトップレスで登場したことのある女優の名前を列挙し「あなたのおっぱいを見たよ」と歌ったことも大きな非難を浴びている。

 最も強く非難されているのは、「テッド」を登場させた寸劇で、ユダヤ人がハリウッドを牛耳っているという冗談を飛ばしたことだ。反ユダヤ主義に対する監視団体「名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League)」は「攻撃的で、全く面白くない」と激しい反発を示した。

 だが、マクファーレン氏はこうした批判の中、ツイッターに「おっぱいの歌に対する怒りを示す興味深い記事」へのリンクを投稿したり、「僕の猫は、授賞式はうまく行ったと言ってるよ」とのコメントを投稿するなどしている。(c)AFP