【2月25日 AFP】ミュージカル『レ・ミゼラブル(Les Miserables)』の名曲は「夢やぶれて(Dreamed a Dream)」だが、この曲を熱唱したアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)は夢がかなった。

 24日に発表された第85回アカデミー賞(Academy Awards)の助演女優賞は、ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』で娘のために体を売る病弱な母ファンテーヌ役を演じたアン・ハサウェイ(30)が、ノミネート2度目にして初オスカーを手にした。前月には第70回ゴールデン・グローブ(Golden Globe)賞の助演女優賞も獲得しており、今回のオスカーでハリウッドの大物女優に連なることは確実だ。

■見所のひとつとなったワンシーン

 ハサウェイ演じるファンテーヌが「夢やぶれて」を歌うシーンは、映画の中で最も胸に迫る見せ場の一つ。自らの運命を悲嘆するファンテーヌを、カメラはワンテイクでクローズアップしていく。

 授賞式でオスカーを受け取ったハサウェイはインタビューに「夢がかなった」と述べ、「あの場面は20回以上撮り直したのですが、4度目のテイクでトム(フーパー監督)が私のところに来て『今のだと思う。あれ以上のものが撮れると思えない』と言ったんです」と語った。「もちろん『もっとできます』と答えたのですが、二度と同じようにはできなかった。結局、8時間歌った後に、最初の20分でおしまいにしていて良かったんだとみんなで気付いたんです」

■学校劇からハリウッド映画へ

 ハサウェイは1982年、ニューヨーク(New York)市ブルックリン(Brooklyn)地区で、弁護士の父親と女優の母親の下に生まれた。早くから演技に引かれ、大学へ入学する以前から数多くの学校劇に参加していた。最初に出演が決まった映画は、2001年のディズニー映画『幸せになるための恋の手紙(The Other Side of Heaven)』。同じ頃に主役を演じてあたったロマンチック・コメディー『プリティ・プリンセス(The Princess Diaries)』が、成功の階段を上るきっかけとなった。
 
 そして2004年の『魔法にかけられたエラ(Ella Enchanted)』や『プリティ・プリンセス』続編など家族向け映画数本に出演した後に転機が訪れ、大人の女優として脱皮を図る。2005年には『アン・ハサウェイ/裸の天使(Havoc)』で披露した大胆なヌードが賛否両論を巻き起こし、カウボーイの同性愛を描いたアン・リー(Ang Lee)監督の『ブロークバック・マウンテン(Brokeback Mountain)』にも出演した。

 さらに2006年には大物オスカー女優メリル・ストリープ(Meryl Streep)がファッション雑誌の鬼編集長を演じ、そのアシスタント役を得た『プラダを着た悪魔(The Devil Wears Prada)』が大ヒット。ストリープと共演するチャンスのためにこの役を引き受けたといい「私がやり遂げたいと望んできたことを彼女は全てやり遂げ、私が知っている誰よりもうまくそれをやり遂げてきた」と憧れを語った。

 続けて2007年には『ジェイン・オースティン 秘められた恋(Becoming Jane)』で英作家ジェーン・オースティン(Jane Austen)を演じ、2008年には精力的に3本の映画『ゲット スマート(Get Smart)』、『パッセンジャーズ(Passengers)』、『レイチェルの結婚(Rachel Getting Married)』に出演。

 このうち『レイチェルの結婚』で2009年、アカデミー主演女優賞に初めてノミネートされたが、オスカーはケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)の手に。この年は当時恋人だったイタリア人実業家ラファエロ・フォリエリ(Raffaello Follieri)が詐欺罪で有罪となるなど曇りがちの話題もあった。
 
 しかし2010年にはティム・バートン(Tim Burton)監督の『アリス・イン・ワンダーランド(Alice in Wonderland)』で「白の女王」を印象的に演じ、さらに2011年『ワン・デイ 23年のラブストーリー(One Day)』のエマ役、2012年『ダークナイト ライジング(The Dark Knight Rises)』の女怪盗キャットウーマン役と多忙を極めてきた。

 さらに3Dアニメーション映画『Rio』(2011年)やテレビシリーズ『シンプソンズ(The Simpsons)』『ファミリー・ガイ(Family Guy)』には声優として出演。2014年公開予定『Rio 2』への出演も決まっている。(c)AFP/Michael Thurston