【1月29日 AFP】米アップル(Apple)の故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏の待望の伝記映画『jOBS』について、同社共同創業者のスティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)氏が描写の正確性に疑問があると語っている。

『jOBS』は25日、米サンダンス映画祭(Sundance Film Festival)でプレミア上映された。これに先立ちインターネット上に公開されたビデオクリップを見たウォズニアック氏はITブログサイト「ギズモード(Gizmodo)」で、登場人物の性格や人間関係、特にコンピュータ業界の象徴となった故ジョブス氏と自分との関係が実際のものとは違うと指摘した。

「私たちの間にあんなやりとりや役割はなかった。狙いが何なのかさえ分からない。性格が全然違う。私の方がどちらかと言えば近いとしても──コンピューターが社会を変えるという考えは、ジョブズが思いついたんじゃない。『(2人が入っていた)ホームブリュー・コンピューター・クラブ(Homebrew Computer Club)』という趣味のクラブでは広く言われていたことだ」

 2011年に亡くなったジョブズ氏に関する映画2本のうちの1本である同作品は、大学を中退し、20世紀最も尊敬を集めたクリエイティブな起業家の1人へと上り詰める同氏を描いたものだ。マイケル・スターン(Michael Stern)が監督、『ハーパー★ボーイズ(Two and a Half Men)』のアシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)がジョブズ氏を演じており、米国で4月から公開される。

 シリコンバレー(Silicon Valley)が隆盛を迎える前の1970年代を振り返り、ウォズニアック氏はこう言う。「彼(ジョブズ氏)のアイデアは20ドルで基板を作り、それを40ドルで売るというものだった。彼はいつも私が設計したものから、手っ取り早く儲ける方法を見つけていた──高尚な会話なんて、ずっと先の話だ。私はまったくプロフェッショナルらしくなかったし、2人とも子供だった」

 ウォズニアック氏の感想に対し『jOBS』の製作側は、米誌エンターテイメント・ウィークリー(Entertainment Weekly)で「この作品はドキュメンタリーではなく、一語一句や一つ一つの出来事を詳細に追ったものではない。ウォズニアック氏に対して製作者たちは多大な敬意を持ち、スティーブ・ジョブズ氏とアップルを共に築いた人々の本質とストーリーを捉えた娯楽作品を作るために幅広い調査を行った」と述べている。

 サンダンス映画祭でのプレミア上映の前に、短いビデオクリップを見ただけで「正確でない」とコメントしたウォズニアック氏は、「正確でないということと、できの悪い作品ということはイコールではない」と述べつつ、自伝『iWoz』を読めば、もっとよく分かるだろうと語った。(c)AFP/Michael Thurston