【1月3日 AFP】フェンシングの元五輪選手で、映画『スター・ウォーズ(Star Wars)』の悪役ダース・ベイダー(Darth Vader)のスタントを演じた英国の俳優ボブ・アンダーソン(Bob Anderson)さんが1日、死去した。89歳だった。

 2日の英国フェンシング・アカデミー(British Academy of Fencing)の発表によると、アンダーソンさんは1日午前4時(日本時間同日午後1時)ごろ、英国の病院で安らかに息を引き取った。同団体のフィリップ・ブルース(Philip Bruce)会長は「間違いなくフェンシング界の偉人の1人だったと同時に、映画の殺陣でも世界トップクラスの指導者だった。フェンシング界、映画界の両方が彼を惜しむだろう」と哀悼の意を表した。

 アンダーソンさんは1922年、英国イングランド(England)南部ハンプシャー(Hampshire)州に生まれた。第2次世界大戦中は精鋭部隊である英海兵隊に従軍。終戦後、1952年ヘルシンキ五輪のフェンシング競技に英国代表として出場した。

■ダース・ベイダーのスタント

 フェンシングのプロ選手としてのキャリアを終えた後、映画界へ転向。「007」シリーズの『ロシアより愛をこめて(From Russia with Love)』や『ダイ・アナザー・デイ(Die Another Day)』、『ロード・オブ・ザ・リング(Lord of the Rings)』3部作といったヒット作に主に殺陣指導やスタントなどで携わった。

 またスター・ウォーズ・シリーズでは旧3部作のうち『帝国の逆襲(The Empire Strikes Back)』と『ジェダイの帰還(Return of the Jedi)』の2作の有名な剣闘シーンで、ダース・ベイダー(Darth Vader)のスタントを演じた。

 スーツアクターとしてダース・ベイダーを演じたのは英俳優デヴィッド・プラウズ(David Prowse)で、声は米俳優のジェームズ・アール・ジョーンズ(James Earl Jones)だが、同シリーズのヒーロー、ルーク・スカイウォーカー(Luke Skywalker)を演じた米俳優マーク・ハミル(Mark Hamill)は1983年、SF映画誌「スターログ(Starlog)」に次のように語っていた。

「ダース・ベイダーの剣闘を演じたのはボブ・アンダーソンだった。これは秘密ということになっていたのだが、これ以上隠し続けるのはフェアじゃないんじゃないかって僕はジョージ(・ルーカス監督)に言ったんだ。ボブは本当に一生懸命に働いていた。もっと認められてしかるべきだ」(c)AFP