【11月30日 AFP】新作『キャピタリズム マネーは踊る(Capitalism: A Love Story)』のプロモーションのため初来日中の米映画監督マイケル・ムーア(Michael Moore)氏が30日、東京兜町の東京証券取引所(Tokyo Stock Exchange)で記者会見した。

 社会運動を牽引する活動家でもあるムーア監督の最新作は、巨大企業の欲望に満ちた利益追求にメスを入れている。初めて訪れた日本での会見場所に、新作タイトル(資本主義の意)を象徴する東証を選び、そこで自由と社会的弱者の保護について熱く語った。

■「日本は平和と尊敬の社会に回帰を」

 ムーア監督は、伝統的な日本的価値観について繰り返し賞賛し、日本人へのメッセージを求められると「平和と尊敬の社会」に回帰すべきだと訴え、「ぼくはアメリカが好きだけど、アメリカのようになるのはやめておいた方がいい。日本は日本であるべきだ」と述べた。

 またジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前米政権に対して、会見で繰り広げた厳しい見解のなかで、イラクへの自衛隊派遣や経済政策における市場至上主義路線の採用など、日本政府がブッシュ政権の政策を支持したとして批判した。

 さらに現在の米国の政治情勢について、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が準備しているアフガニスタンへの米軍増派について強く警告し、日米が戦った第2次世界大戦に従軍した父親のメッセージを、オバマ大統領に送ったエピソードを披露した。「父と、父の日本人の友達から頼まれて、オバマ氏にメッセージを送ったよ。『ミスター・オバマ、あなたは戦争を知らない。わたしたち2人は戦争を知っている。そして2度と願っていないのです』と」

■最初のショッピングは力士御用達の店?

 ムーア監督はこの日、「航空会社に荷物をなくされた」と言って、スエットの上下に普段着のコートという非常にラフな格好で現れた。東京で一番最初に訪れた場所のひとつは、相撲力士に人気のある洋服店だったという。「日本でぼくに合う服を探そうと思ったら、どこに行ったらいいかなと。いま着ているのは半分は自分のパジャマで、半分はスモウ・レスラー用の服なんだよ」(c)AFP