【9月6日 AFP】イタリア北部のベネチア(Venice)で開催中の第66回ベネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)で4日、コンペ部門作品として出品されているヴェルナー・ヘルツォーク(Werner Herzog)監督の『Bad Lieutenant: Port of Call New Orleans』の記者会見が開かれた。

 本作は、主演のニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)が演じるギャンブル好きで薬物中毒の悪徳刑事が、違法移民一家殺人事件の捜査を行うというスリラー作品。ヘルツォーク監督ならではのスピード感にあふれた作品となっている。

 奇矯な人物のテレンス警部補に扮するケイジの演技は、時として大笑いさせられる部分もあったが、あまりにも真に迫っていたため、ヘルツォーク監督はケイジが「本当に麻薬をやっているのではないだろうな?」と念押ししたほどだったという。

 ヘルツォーク監督は本作が1992年のアベル・フェラーラ(Abel Ferrara)監督作『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(Bad Lieutenant)』とはまったく関係ないと主張している。だが、本作が制作されることを知ったフェラーラ監督は英紙ガーディアン(Guardian)の電子版に「ヘルツォーク監督と製作会社の連中は全員、地獄に堕ちるといい」と述べ、怒りをあらわにしていたという。

 4日の記者会見でも「フェラーラ監督からリメーク権を獲得したのか」との質問を受けたヘルツォーク監督は、「フェラーラ監督と会ったことはないし、問題の映画も見たことがない」と返答。「彼はこの映画祭に来ているので、私の作品を見てもらいたいし、ぜひ会いたいとも思っている。ウイスキーでも飲みながらね」と語った。

 イタリア南部の都市を描いたフェラーラ監督のドキュメンタリー作品『Napoli, Napoli, Napoli』は、今回の映画祭ではコンペ外作品として上映される予定だ。(c)AFP/Gina Doggett