【6月25日 AFP】世界の若者たちを何世代にもわたって魅了してきた日本の漫画『鉄腕アトム(Astroboy)』を、英監督デビッド・ボワーズ(David Bowers)氏がCGアニメ化した最新版が年内に米国で公開される。

 オリジナルの『鉄腕アトム』は「マンガの父」と呼ばれる故手塚治虫(Osamu Tezuk)氏(1928-1989)の60年代の作品だ。

 今回のアニメ化でキャラクター・デザイナーを務めるのは、アルゼンチン人のルイス・グラーネ(Luis Grane)氏。米映画会社ドリームワークス(DreamWorks)で6年を過ごした後、『スパイダーマン2(Spider-Man 2)』や『マトリックス(The Matrix)』、米ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)の作品『レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)』などの製作に参加した。

 そのグラーネ氏が今回最も苦労したのは、主人公アトムの映像化だったという。監督だけではなく、手塚氏の息子である手塚眞(Makoto Tezuka)氏からもゴーサインをもらわなければならなかったからだ。

 現在最新版『鉄腕アトム』の制作は、香港(Hong Kong)のCGアニメ製作会社イマギ・アニメーション(Imagi Animation)が米ロサンゼルス(Los Angeles)郊外にもつスタジオで行われている。同社にとっては2007年の『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ(Teenage Mutant Ninja TurtlesTMNT)』以来のアニメ大作だ。

 CG映画『マウス・タウン ロディとリタの大冒険(Flushed Away)』で知られるボワーズ監督によると、最新版『鉄腕アトム』は10月23日に米国で、2010年の1~2月の間にアルゼンチンとブラジルで公開される予定。ストーリーは手塚眞氏の協力を得て、オリジナルに忠実に沿ったものだという。

「人の感情を揺さぶる劇的に素晴らしい作品になるよう、そして同時にこの日本文化の大切な象徴に敬意を払ったものになるよう、一生懸命に努力した」と監督は語る。


■アトム役声優はフレディ・ハイモア

 ボワーズ監督と脚本家のティモシー・ハリス(Timothy Harris)氏は共同で6週間で脚本を書き上げたが、アニメ制作は香港の数百人のアニメーターたちが2007年から24時間体制で取り組んできた。

 このアニメーターたちの高い技術は、本作内で悪役に立ち向かったり、空に向かって去るときにアトムがフルスピードで飛ぶシーンなどで、カメラワークに加えられた精密なCG作業に現れている。

 声優は主役アトムを『チャーリーとチョコレート工場(Charlie and the Chocolate Factory)』で主役の少年を演じた17歳のフレディ・ハイモア(Freddie Highmore)が、アトムの生みの親である科学者、天馬博士(Tenma)をニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)が務めるほか、クリステン・ベル(Kristen Bell、コーラ)、ネイサン・レイン(Nathan Lane、ハム・エッグ)、ドナルド・サザーランド(Donald Sutherland、ストーン大統領)が出演する。(c)AFP/Paula Bustamante