【2月26日 AFP】米俳優・映画監督のクリント・イーストウッド(Clint Eastwood、78)が25日、カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)実行委員会からパルム・ドール(Palme d'Or)特別賞を授与された。

 夫人と2人の子どもとともに、パリ(Paris)で行われたセレモニーに出席したイーストウッドは、「非常に光栄です」と語った。

 イーストウッドはこれまでカンヌでパルム・ドールを獲得したことはないが、2008年には、ショーン・ペン(Sean Penn)率いる審査員から功労賞を授与された。

 イーストウッドはこの日、最新主演・監督作『グラン・トリノ(Gran Torino)』のフランスでの公開に合わせ、パリを訪れていた。イーストウッドは1960年代、『荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)』のプロモーションのため初めてパリを訪問したことに触れ、「無名監督と無名俳優のちっぽけな映画だったが、幸運なことにヒットした」と語った。

 さらに、米国とは違って早くからイーストウッドを支持してくれたフランスの映画界に、感謝の意を表した。

「1970年に初めてメガホンを取ったとき、フランスの映画関係者や批評家は私を激励してくれたが、米国民は冷ややかだった。俳優としては好きかもしれないが監督としてはわからないと言われた」

 イーストウッドは『恐怖のメロディ(Play Misty For Me)』で監督デビューを飾った。特に1992年の『許されざる者(Unforgiven)』などで、高く評価されている。

 毎年5月に行われるカンヌ国際映画祭の実行委員会が、映画祭とは別にこのような賞を贈ることは非常に珍しい。過去には、スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman)やフランスの女優ジャンヌ・モロー(Jeanne Moreau)が受賞している。

 実行委員長のジル・ヤコブ(Gilles Jacob)氏は、表彰の理由を「イーストウッドは偉大なアーティストで非常に素晴らしい資質を持った人。さらに、米国の偉大な映画監督の本質でもある飾り気のなさを演技や監督業で見せている。われわれは彼を大好きなのだと伝えたかった」と語った。

 イーストウッドはまもなく、ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)南アフリカ元大統領を描いた次回作の撮影に入る。アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後の転換点とされる1995年のラグビーW杯南アフリカ大会と、南アのユニフォームを着て決勝戦に姿を見せたマンデラ大統領(当時)に焦点を当てた作品だ。マット・デイモン(Matt Damon)とモーガン・フリーマン(Morgan Freeman)が出演する。(c)AFP