【2月18日 AFP】映画「ピンクパンサー(Pink Panther)」シリーズで、窃盗犯を追いかけながら次々とハプニングを巻き起こす、ドジなクルーゾー警部(Inspector Clouseau)がスクリーンに戻ってくる。

 4月に日本で公開されるシリーズ最新作には、『ピンクパンサー2(Pink Panther 2)』というタイトルが付いてはいるものの、1963年の『ピンクの豹』以降、このシリーズで何本もの映画が制作されている。

■今回もクルーゾー警部演じるS・マーティン

 2006年の前作に引き続いてクルーゾー警部を演じるのは、スティーヴ・マーティン(Steve Martin、63)。ショーン・レヴィ(Shawn Levy)がメガホンを取った前作でマーティンは、ジャン・レノ(Jean Reno)やビヨンセ(Beyonce)と共演。初代クルーゾー警部を演じた故ピーター・セラーズ(Peter Sellers)をまねず、独自のクルーゾー警部を演じようとした。

 今回は、ハラルド・ズワルト(Harald Swart)監督のもと、レノに加え、アンディ・ガルシア(Andy Garcia)、アイシュワリヤー・ラーイ(Aishwarya Rai)、ジョン・クリーズ(John Cleese)、ジェレミー・アイアンズ(Jeremy Irons)が出演している。

 先に行われた第59回ベルリン国際映画祭(Berlin Film Festival)に、この作品をひっさげ登場したマーティンは、クルーゾー警部を「コメディー版ハムレット(Hamlet)」と表現した。

「私にとってクルーゾー警部はコメディー版ハムレットなんだ。最も難しい役の1つだよ」(スティーヴ・マーティン)

 マーティンはまた、「セラーズは素晴らしいコメディアンで、見事にこの役を生み出した」と、セラーズを称賛した。

■「コメディーは批評家のための媒体ではない」

 今作は既に米国などで公開されているが、前作に続いて批評家にはあまり受け入れられていない。マーティンは、コメディーは批評家のための媒体ではないとして、「批評家の知ったかぶり」を非難した。

「私はずっと悪い評価を受け続けている。スタンダップコメディーを始めたときも評価は悪かった。私の最も長くやっている演目の1つ『ザ・ジャーク(The Jerk、愚か者)』は、全米で酷評されたよ」

■今回のストーリーは?

 クルーゾー警部は今回も、駐車違反の監視業務から宝石盗難事件の調査へと借り出される。脚本は複雑ではない。マグナカルタ(Magna Carta)、トリノの聖骸布(せいがいふ、Shroud of Turin)、日本皇室の刀などを盗んだ「トルネード(Tornado)」と呼ばれる窃盗犯が「ピンクパンサー」という高価なダイヤモンドを盗む。そこで、クルーゾー警部を含む国際捜査チームが結成されるのだ。

 クリーズ演じるドレイフェス警視(Inspector Dreyfus)は、不本意ながらもクルーゾー警部を指名。そのパートナーとしてレノ演じるポントン(Ponton)、エミリー・モーティマー(Emily Mortimer)演じるニコール(Nicole)がチームに入る。ニコールはクルーゾー警部に言い寄られることにもなる。

 ばかばかしさ満載、発音ミス連発の中、窃盗犯はローマ法王の神聖な指輪を盗む。そこからなぜか、クルーゾー警部は法王の衣装を身につけ本物に間違われてしまう。

■どたばた喜劇でなく、「フィジカルコメディー」

 マーティンは、この作品を表現する言葉は、「スラップスティック(どたばた喜劇)」ではなく、「フィジカルコメディー(体で演じるコメディー)」だと語った。

「私にとってのどたばた喜劇というのは、誰かを殴ったり、顔面をナベで叩くだけの、低次元なもの。でも、私たちはもう少し優雅で洗練されていると思う。私は米国ではフィジカルアクター(体を張った俳優)として知られているからね」(c)AFP/Simon Sturdee