【1月19日 AFP】トム・クルーズ(Tom Cruise)は堅苦しくて背が低すぎる――。クルーズが新作映画『ワルキューレ(Valkyrie)』で演じたヒトラー暗殺に失敗したドイツ人将校の子孫が、18日付けの独紙のインタビューで、クルーズと実際の将校を比べて評した。

 クルーズは22日からドイツで公開されるこの作品で、ヒトラー暗殺を企てたドイツ人将校クラウス・フォン・シュタウフェンベルク(Claus Schenk von Stauffenberg)を演じている。

 シュタウフェンベルク将校は旧プロイセン王国の貴族出身で、1944年7月20日、東プロイセン(現ポーランド)にあったナチスの総統大本営で実行されたヒトラー暗殺計画で、会議中のテーブルの下に爆弾を入れたブリーフケースを置いた人物。しかし、ブリーフケースが動かされたため、オーク材のテーブルの頑丈な足に遮へいされ、ヒトラーはかすり傷を負っただけで暗殺を逃れた。シュタウフェンベルク将校ほか計画に加わった人物たちは逮捕され、銃殺刑に処された。

 公開を前に作品を見たシュタウフェンベルク将校の子孫にあたるフランツ・フォン・シュタウフェンベルク(Franz von Stauffenberg)さんは、ウェルト紙日曜版(Welt am Sonntag)のインタビューに答え、「トム・クルーズは非常に警戒しているように見える。まるでこの役を演じるのを怖がっていたようだ。優雅に見せようとしているようだが、とても堅苦しくなってしまっている」と批評した。

「この役を演じようという断固たる決意があるように見えないし、カリスマ性も足りない。それに全体的に、体が小さすぎる」。フランツさんが書物や家族の話から知るシュタウフェンベルク将校は、強いカリスマ性を持ち、笑顔やユーモア、その魅力で人びとを奮起させる人物だったという。

 クルーズの演技には不満を抱いたフランツさんだが、将校の人生が映画になって世界の人々に知ってもらえることはうれしいと語り、「良いスリラー映画だと思う」と感想を述べた。(c)AFP