スーパーヒーローはアジアの映画界を救えるか、釜山国際映画祭で議論
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【10月12日 AFP】「バットマン(Batman)」シリーズ最新作『ダークナイト(The Dark Knight)』、『アイアンマン(Iron Man)』、『スパイダーマン3(Spider-Man 3)』などのヒーロー映画が世界中で続々ヒットする中、アジア映画もこれに負けず、「アジアのヒーロー」像を打ち出そうとしている。
注目を集めている作品の1つは、カン・ドンウォン(Gang Dong-Won)、イム・スジョン(Lim Soo-Jung)、キム・ユンソク(Kim Yoon-Seok)出演の韓国映画『田禹治(チョンウチ、Jeon Woo Chi)』。過去から現在へタイムトラベルして来た道術家(※注)が妖怪たちと闘うストーリーだ。
『田禹治』は約4か月かけて撮影される予定だが、これは韓国映画史上最も長い撮影期間のひとつとなる。「主人公のチョンウチは、ハリウッドで人気のいわゆる“正義の味方”とだいぶ異なる。悪党でいたずら好きだ」と語るプロデューサーのLee Eugene氏は、来年夏に公開されるこの作品が、ハリウッドの大作に負けない成功を収めることを期待している。
しかし、アメリカンコミックのヒーローが登場する最近のハリウッド映画が圧倒的な興行収入をもたらしていることを考えると、『田禹治』が越えるべき興業面のハードルはかなり高そうだ。「バットマン」シリーズの最新作『ダークナイト』は4億6000万ドル(約463億円)以上を稼ぎ出した。興行成績もそれほどふるわず、制作本数も少ないアジアの映画界にとっては夢のような金額だ。
しかし、だからといってアジアの映画制作者たちが戦う姿勢を捨てた訳ではない。
■アジア独自のヒーローを
2-10日に開催された第13回釜山国際映画祭(Pusan International Film Festival、PIFF)では、過去50年間に作られた、アジアの人気ヒーロー映画11本が特集された。
「日本には1960年代以降、ウルトラマン(Ultraman)のような日本ならではのヒーローがいる」と映画プロデューサー市山尚三(Shozo Ichiyama)氏は言う。
「大切なのは、アメリンヒーローと違ったヒーロー像を打ち出すことだ。例えば月光仮面(Gekko Kamen)のモットーは“敵を殺すな、許せ”というもの。アメリカの感覚とは違う」
『スパイダーマン3』はインドでヒットしなかった。評論家のMeenakshi Shedde氏はこう説明する。「理由は簡単。ボリウッド( Bollywood)映画のヒーローは、戦い、歌い、踊る。したいことは何でもする。だからアメリカン・ヒーローには驚かないし感動もしない」
しかし、なぜ人々がこんなにもスーパーヒーローを愛するのか、それは別に理由があるようだ。釜山で行われたディベートで話題に上った。
ソウル(Seoul)の竜山大学(Yongsan University)で映画理論を教えるJoo Youshin氏は、「普遍的な人間の願望が描かれていることが、ハリウッドのヒーロー映画が成功する秘訣だ。社会で私たちが感じている矛盾、私たちの心理を反映している」と考えている。
「単純にセクシーだから好きになる場合もある」とは、フィリピンの映画評論家エドワード・カバニョ(Edward Cabagnot)氏。「アジアでもセクシーなヒーローを生み出せばヒットする可能性がある。さすがのハリウッドも、「セクシーさ」自体に知的財産権を持っているわけではないから」(c)AFP
※注:道を極め、妖術を駆使する者。
注目を集めている作品の1つは、カン・ドンウォン(Gang Dong-Won)、イム・スジョン(Lim Soo-Jung)、キム・ユンソク(Kim Yoon-Seok)出演の韓国映画『田禹治(チョンウチ、Jeon Woo Chi)』。過去から現在へタイムトラベルして来た道術家(※注)が妖怪たちと闘うストーリーだ。
『田禹治』は約4か月かけて撮影される予定だが、これは韓国映画史上最も長い撮影期間のひとつとなる。「主人公のチョンウチは、ハリウッドで人気のいわゆる“正義の味方”とだいぶ異なる。悪党でいたずら好きだ」と語るプロデューサーのLee Eugene氏は、来年夏に公開されるこの作品が、ハリウッドの大作に負けない成功を収めることを期待している。
しかし、アメリカンコミックのヒーローが登場する最近のハリウッド映画が圧倒的な興行収入をもたらしていることを考えると、『田禹治』が越えるべき興業面のハードルはかなり高そうだ。「バットマン」シリーズの最新作『ダークナイト』は4億6000万ドル(約463億円)以上を稼ぎ出した。興行成績もそれほどふるわず、制作本数も少ないアジアの映画界にとっては夢のような金額だ。
しかし、だからといってアジアの映画制作者たちが戦う姿勢を捨てた訳ではない。
■アジア独自のヒーローを
2-10日に開催された第13回釜山国際映画祭(Pusan International Film Festival、PIFF)では、過去50年間に作られた、アジアの人気ヒーロー映画11本が特集された。
「日本には1960年代以降、ウルトラマン(Ultraman)のような日本ならではのヒーローがいる」と映画プロデューサー市山尚三(Shozo Ichiyama)氏は言う。
「大切なのは、アメリンヒーローと違ったヒーロー像を打ち出すことだ。例えば月光仮面(Gekko Kamen)のモットーは“敵を殺すな、許せ”というもの。アメリカの感覚とは違う」
『スパイダーマン3』はインドでヒットしなかった。評論家のMeenakshi Shedde氏はこう説明する。「理由は簡単。ボリウッド( Bollywood)映画のヒーローは、戦い、歌い、踊る。したいことは何でもする。だからアメリカン・ヒーローには驚かないし感動もしない」
しかし、なぜ人々がこんなにもスーパーヒーローを愛するのか、それは別に理由があるようだ。釜山で行われたディベートで話題に上った。
ソウル(Seoul)の竜山大学(Yongsan University)で映画理論を教えるJoo Youshin氏は、「普遍的な人間の願望が描かれていることが、ハリウッドのヒーロー映画が成功する秘訣だ。社会で私たちが感じている矛盾、私たちの心理を反映している」と考えている。
「単純にセクシーだから好きになる場合もある」とは、フィリピンの映画評論家エドワード・カバニョ(Edward Cabagnot)氏。「アジアでもセクシーなヒーローを生み出せばヒットする可能性がある。さすがのハリウッドも、「セクシーさ」自体に知的財産権を持っているわけではないから」(c)AFP
※注:道を極め、妖術を駆使する者。