ハリウッド黄金時代とタバコ産業、「もちつもたれつ」の歴史
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【9月25日 AFP】ハリウッド(Hollywood)「黄金時代」を築いた名優たちには、タバコ宣伝費として現在の金額に換算して計数百万ドル(数億円)が支払われたと指摘する論文が、25日の英業界紙「タバコ・コントロール(Tobacco Control)」に発表された。
俳優たちの名にはゲイリー・クーパー(Gary Cooper)、クラーク・ゲーブル(Clark Gable)、ジョーン・クロフォード(Joan Crawford)、スペンサー・トレイシー(Spencer Tracy)、ボブ・ホープ(Bob Hope)、ヘンリー・フォンダ(Henry Fonda)とそうそうたるスターが挙げられる。
■1社1年間、現在の3.5億円相当の広告費も
研究によると、1930年代後半から40年代にかけて、人気トップ50俳優のうちの3分の2を含む総勢約200人の俳優たちが、アメリカンタバコ(American Tobacco)、R・J・レイノルズ(R.J. Reynolds)、リゲット・アンド・マイヤーズ(Liggett & Myers)など、タバコメーカーの新聞広告に登場。
「このタバコの味はスムーズだね」「撮影現場でリラックスさせてくれる」などという台詞で宣伝した。がんで亡くなったジョン・ウェイン(John Wayne)の場合、「タバコを吸うと声の調子もよくなる」と言った広告もあった。
1937-38年の1年間だけで、アメリカンタバコが自社銘柄ラッキーストライク(Lucky Strike)の宣伝料としてスターたちに支払った額は当時21万8750ドル、現在に換算して320万ドル(約3億4000万円)にも上った。
■映画とのタイアップでイメージ演出
現在もヒット作とフードチェーンやソフトドリンクの企業がタイアップし、映画内で商品名に触れたりすることがあるが、そうした広告手法は当時から存在し、証言広告は新作映画の封切りに合わせて作られることが多かった。
これらは、喫煙に関して若い男性たちの間に「男らしい」イメージ、若い女性たちの間に「らしさ」や「自由」といったイメージを抱かせるための大々的な戦略の一環であったという。
論文を共同執筆した米カリフォルニア大学(University of California)のスタントン・グランツ(Stanton Glantz)教授(医学)は、「映画産業とタバコ会社との商業契約は古くからあった」と指摘する。こうしたタイアップは世界初のトーキー映画といわれる1927年の「The Jazz Singer」から、1951年にテレビが映画に置き換わるまで、俳優たちと企業との広告契約として四半世紀も続いた。
また、タバコ会社が新作映画の宣伝費を出すと同時に、ラジオ番組のスポンサーとなり、映画宣伝のために番組出演したハリウッドスターにタバコの宣伝もさせることもあった。なかには、放送時間135分で「ラッキーストライク」という言葉や宣伝音が30秒に1回、計268回発せられたという少々強引な番組もあったという。
論文を共同執筆者、米スタンフォード大学医学部(Stanford University School of Medicine)のロバート・ジャックラー(Robert Jackler)教授は、こうした「内密の」契約がタバコ産業、映画スタジオ、そして宣伝に一役買ったスターたちのすべてに恩恵を与えていたと言う。
「スタジオはタバコを宣伝することで興業収入を稼ぎ、タバコ産業はハリウッドスターを使うことで売り上げ増ばかりか『タバコは健康に悪くない』というメッセージを送ることができた」(ジャックラー教授)
論文では、こうした「黄金時代」の関係は、例えば映画に喫煙シーンが頻繁に登場したり、「タバコは欠かせない小道具」というハリウッドのスタンスが依然変わっていないなど、現在にも脈々と受け継がれていると論じている。(c)AFP
俳優たちの名にはゲイリー・クーパー(Gary Cooper)、クラーク・ゲーブル(Clark Gable)、ジョーン・クロフォード(Joan Crawford)、スペンサー・トレイシー(Spencer Tracy)、ボブ・ホープ(Bob Hope)、ヘンリー・フォンダ(Henry Fonda)とそうそうたるスターが挙げられる。
■1社1年間、現在の3.5億円相当の広告費も
研究によると、1930年代後半から40年代にかけて、人気トップ50俳優のうちの3分の2を含む総勢約200人の俳優たちが、アメリカンタバコ(American Tobacco)、R・J・レイノルズ(R.J. Reynolds)、リゲット・アンド・マイヤーズ(Liggett & Myers)など、タバコメーカーの新聞広告に登場。
「このタバコの味はスムーズだね」「撮影現場でリラックスさせてくれる」などという台詞で宣伝した。がんで亡くなったジョン・ウェイン(John Wayne)の場合、「タバコを吸うと声の調子もよくなる」と言った広告もあった。
1937-38年の1年間だけで、アメリカンタバコが自社銘柄ラッキーストライク(Lucky Strike)の宣伝料としてスターたちに支払った額は当時21万8750ドル、現在に換算して320万ドル(約3億4000万円)にも上った。
■映画とのタイアップでイメージ演出
現在もヒット作とフードチェーンやソフトドリンクの企業がタイアップし、映画内で商品名に触れたりすることがあるが、そうした広告手法は当時から存在し、証言広告は新作映画の封切りに合わせて作られることが多かった。
これらは、喫煙に関して若い男性たちの間に「男らしい」イメージ、若い女性たちの間に「らしさ」や「自由」といったイメージを抱かせるための大々的な戦略の一環であったという。
論文を共同執筆した米カリフォルニア大学(University of California)のスタントン・グランツ(Stanton Glantz)教授(医学)は、「映画産業とタバコ会社との商業契約は古くからあった」と指摘する。こうしたタイアップは世界初のトーキー映画といわれる1927年の「The Jazz Singer」から、1951年にテレビが映画に置き換わるまで、俳優たちと企業との広告契約として四半世紀も続いた。
また、タバコ会社が新作映画の宣伝費を出すと同時に、ラジオ番組のスポンサーとなり、映画宣伝のために番組出演したハリウッドスターにタバコの宣伝もさせることもあった。なかには、放送時間135分で「ラッキーストライク」という言葉や宣伝音が30秒に1回、計268回発せられたという少々強引な番組もあったという。
論文を共同執筆者、米スタンフォード大学医学部(Stanford University School of Medicine)のロバート・ジャックラー(Robert Jackler)教授は、こうした「内密の」契約がタバコ産業、映画スタジオ、そして宣伝に一役買ったスターたちのすべてに恩恵を与えていたと言う。
「スタジオはタバコを宣伝することで興業収入を稼ぎ、タバコ産業はハリウッドスターを使うことで売り上げ増ばかりか『タバコは健康に悪くない』というメッセージを送ることができた」(ジャックラー教授)
論文では、こうした「黄金時代」の関係は、例えば映画に喫煙シーンが頻繁に登場したり、「タバコは欠かせない小道具」というハリウッドのスタンスが依然変わっていないなど、現在にも脈々と受け継がれていると論じている。(c)AFP