【8月15日 AFP】ウッディ・アレン(Woody Allen)監督作品に3本出演し、アレン監督の新しいミューズ(芸術の女神)とうわさされる女優スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)が、自分はミューズではないと語り、そのうわさを否定した。

 2005年の『マッチポイント(Match Point)』、2006年の『タロットカード殺人事件(Scoop)』に引き続き、ヨハンソンとアレン監督がタッグを組んだ3作目、スペインを舞台にしたコメディ『Vicky Cristina Barcelona』は15日に米国公開を迎える。

 しかし、アレン監督がヨハンソンを褒めたたえる一方、ヨハンソンは、自分は1970年代から90年代初めにかけてアレン監督作に続けて出演したダイアン・キートン(Diane Keaton)やミア・ファロー(Mia Farrow)に続くミューズではないと語る。

 ビバリーヒルズ(Beverly Hills)で行われた記者会見で、ヨハンソンは「私は彼のミューズではない。これまでやってきた作品でいつもミューズだと言われ、いつも違うと言ってきた。そんなものではない」と語った。アレン監督とのコラボは友人との作業のようなもので、自分はアレン監督のレパートリー劇団の一部なのだという。

「ウッディも私も、友人と一緒に働くことの素晴らしさを理解している。とても楽しいし、素晴らしい時間を過ごしている。お互い理解しあっているし、互いを笑わせたり邪魔したりしている」(ヨハンソン)

 一方のアレン監督は、ロンドンを舞台にした『マッチポイント』にヨハンソンをキャスティングしたのは、ケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)が土壇場で辞退したためだと指摘し、ヨハンソンがミューズだとすれば、偶然ミューズになったのだと語る。代役を考えていた当時、アレン監督はヨハンソンのことを全く知らなかったという。

「ヨハンソンは、当時まだ19歳だったから、あの役には若すぎると思った。しかし、早く代役を選ぶ必要があったし、スカーレットが素晴らしい女優で美しいということはわかった。彼女を選び、彼女に完全に魅了されてしまった。彼女なら何でもできると思った。美しいだけでなく賢く、おもしろく、かわいらしく、才能もある」(アレン監督)

 『Vicky Cristina Barcelona』でヨハンソンは、共演者のペネロペ・クルス(Penelope Cruz)とハビエル・バルデム(Javier Bardem)を巻き込んだ三角関係に陥る女性を演じている。アレン監督はこの作品で、15回目のアカデミー賞ノミネートを果たすのではないかと言われており、この作品はアレン監督の近年の作品の中では最高傑作だという評価も出ている。

 公開前の話題は、予測通り共演者3人によるラブシーンに集まっていた。ヨハンソンは、バルセロナ(Barcelona)での撮影時のエピソードとして「撮影中は、サラミサンドイッチを食べながら撮影が終わるのを待っている男性スタッフが60人ぐらいいたわ。彼らが食べ物のトレーをぐるぐる手渡していくから、自分が回っているのかと思うぐらいだった」とコメント。さらに 「キャラクターと私たち役者の間にはたくさんの共通点があり、そこからセクシーな雰囲気が生まれたのだと思う。シーンは自体はそこまで露骨でないしね。クレイジーなところなんて何もないわ」と語った。

 ヨハンソンは、フランク・ミラー(Frank Miller)監督の作品『The Spirit』にも出演しており、公開を控えている。この作品でヨハンソンは、怪しい魅力を持った秘書を演じている。「フランクとの仕事は楽しかったわ。彼はとても明確なビジョンを持ち、作り上げる素晴らしいキャラクターは堕落している。ヒーローはいないし、みんなグレー。そういうところがいいのよ」とヨハンソンは語っている。(c)AFP