【6月3日 AFP】(一部訂正)2006年にオスカーノミネートを果たした女優菊地凛子(Rinko Kikuchi、27)が、全編英語の新作『The Brothers Bloom』にチャレンジしている。これについて、日本ファッション・エディターズ・クラブ(FEC)主催の第51回FEC賞贈賞式で、特別賞を受賞した菊地にインタビューを行った。

 新作『The Brothers Bloom』の役どころは、レイチェル・ワイズ(Rachel Weisz)演じる女相続人から金をだまし取る「Bang Bang」という魅力的でミステリアスな詐欺師集団の一員。日本人女優として半世紀ぶりにアカデミー賞にノミネートされ、批評家にも絶賛された06年の出演作『バベル』とは180度異なる役柄だ。

 映画『バベル』で菊地が登場するシーンが東京を舞台に日本語で撮影されたのに対し、ライアン・ジョンソン監督の『The Brothers Bloom』は大部分が東欧を舞台に英語で撮影された。

 菊地は国内の現場について、「日本には、すごくいい意味で上下関係とか、尊敬の気持ちをみせるという文化がある。表面的でなく、尊敬しきちんと距離を置く現場だと思う」と語る。それと比較し、「外国の人は、ダイレクトに答えを求める。こうして欲しいという文化を持っている。俳優やスタッフの間でも、もっと親密になる機会が多い」。

 菊地の他に『ラストサムライ』に出演した渡辺謙などが、海外で活躍しているが、ハリウッドで成功した日本人俳優は非常に少ないというのが現状だ。言語の壁などが、その要因としてあげられる。映画『SAYURI』でも、日本人芸者を演じたメインキャスト2人が中国人だったことで、“ハリウッドの日本人俳優不足”問題に対する議論が浮上した。

 しかし、菊地は日本人俳優であることを冷静にうけとめ、俳優にとって最も関心があるのは「いい仕事をすること」だと語る。「中国人俳優でも、他のアジア人俳優でも、そういう機会があれば、自由に日本人役を演じるべきだと思う」

 「日本人役だから日本人を起用するというわけでなく、監督が思う世界にその日本人俳優がマッチするのであれば使うべきだ、と考えている。大事なのは、監督が描いている世界観にきちんとはまっていること」。もちろん、日本人として日本人役を演じようという気持ちはあるが、そうでない役にも「挑戦していきたい」と意欲をみせた。(c)AFP