【5月26日 AFP】第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)は25日、フランス映画『Entre les MursThe Class)』が最高賞のパルム・ドール(Palme d'Or)を獲得して閉幕した。開催地フランスの作品が最高賞に輝いたのは約20年ぶりだ。

 ローラン・カンテ(Laurent Cantet)監督(46)がメガホンを取った同作品は、様々な人種の演技未経験の生徒ばかりをキャスティングした映画。これらの生徒はすべて同じ学校から集められた。

 壇上で俳優兼監督のロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)からパルム・ドールを渡されたカンテ監督は、「これは、平等と不平等が混在する世界の縮図だ」と語った。

『Entre les Murs』はカンテ監督にとって4本目の長編映画。これまで同様、社会的疎外をテーマにしている。現在もフランス国内で見られる、教育への予算削減に対する抗議行動は、まさにこのテーマを体現したものだ。

 フランス作品がパルム・ドールに輝いたのは、1987年のモーリス・ピアラ(Maurice Pialat)監督作『悪魔の陽の下に(Under the Sun of Satan)』以来となる。

 審査委員長のショーン・ペン(Sean Penn)は、『Entre les Murs』は「素晴らしい、素晴らしい作品だ」と語った。全員一致でパルム・ドールに選ばれたという。

 カンテ監督はおなじみのストーリー展開に「感傷的になることなく、新鮮で的確なアプローチで」取り組んだと、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙の批評家A・O・スコット(A.O. Scott)氏は評価している。

 ペンは映画祭オープニングで「パルム・ドール受賞者は、自分が生きている時代をよく理解した人物になるだろう」と語っていた。さらに仏紙のインタビューでは、カンヌ映画祭ではアカデミー賞とは「全く対照的な選択」がなされるべきであり、革新的な型破りな作品が選ばれるべきだとも述べていた。

 同夜発表された各受賞結果は以下となる。

■受賞作一覧

- パルム・ドール:『Entre les Murs (The Class)』-ローラン・カンテ(Laurent Cantet)監督 フランス

- グランプリ:『GomorraGomorrah)』-マッテオ・ガローネ(Matteo Garrone)監督 イタリア

- 審査員賞:『Il Divo』-パオロ・ソレンティーノ(Paolo Sorrentino)監督 イタリア

- 女優賞:Sandra Corveloni(ブラジル)-『Linha de PasseLine of Passage)』

- 男優賞:ベニチオ・デル・トロ(Benicio Del Toro、米国)-『Che

- 監督賞:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan、トルコ)-『Three Monkeys

- 脚本賞:ジャン・ピエール・ダルデンヌ(Jean-Pierre Dardenne)、リュック・ダルデンヌ(Luc Dardenne)兄弟(ベルギー)-『Le Silence De LornaLorna's Silence)』

- 功労賞:カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood

- パルム・ドール(短編映画):『Megatron』-Marian Crisan ルーマニア

- カメラ・ドール(新人監督賞):『Hunger』-スティーヴ・マックィーン(Steve McQueen)監督 英国

(c)AFP

カンヌ国際映画祭の公式ウェブサイト(英語)