【5月25日 AFP】シンガポールのエリック・クー(Eric Khoo)監督の作品『My Magic』が、25日に発表される第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)のコンペティション部門に出品されている。

「超低予算」でわずか9日間で撮影したという父子の物語『My Magic』は、落ちぶれて鬱屈した日々を過ごす元手品師と、酔ってばかりいる父親のおう吐物を毎晩掃除する10歳の息子のストーリー。

 父親を演じているのはクー監督の長年の友人で、本物の曲芸師でもあるフランシス・ボスコ(Francis Bosco)。フランシスは空中浮遊や帽子からウサギを出すだけでなく、ガラスを飲み込み、火を食べてと、見ているだけでも痛いような離れ技をくり出すことを得意とする。

 約2000人に迎えられたカンヌの上映会で、フランシスはどこからともなく火を取り出し、さらに自分の財布をひるがえして見せると、財布にも火がついた。その後のレセプションでは、電球も飲み込み「作品内のすべてのマジックを私が自分でやっているという証拠だ」と語った。映画内では、腕や舌に大きな針を通す「苦行」も披露している。

 クー監督はAFPのインタビューに対し、実際に自分の息子の1人と長年疎遠状態にあったフランシスとの友情から、本作品を作ろうと考えたと語った。

 作品内では父子関係は最終的に修復されるが、本作品に出演したことで、フランシスは実生活でも息子と仲良くやれるようになったという。(c)AFP/Claire Rosemberg

カンヌ国際映画祭の公式ウェブサイト(英語)