【4月2日 AFP】靖国神社を題材にした中国人監督のドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI(Yasukuni)』の上映を中止する映画館が増加したことに対し、日本政府及び報道関係者の間で抗議の声が上がっている。

『靖国』の監督を務めた李纓(Li Ying)氏の事務所は、3月31日に新たに4館が上映中止を発表したことで、日本全国での上映が不可能になるのではないかと危惧している。同事務所のあるスタッフは、映画は通常、東京などの大都市から地方へと公開されていくため、一から公開予定を見直さなければならないと言う。

 渡海紀三朗(Kisaburo Tokai)文部科学相は会見で、表現の自由に何らかの制限が掛けられたのではないかと危惧していると述べた。さらに町村信孝(Nobutaka Machimura)官房長官は、いろんな圧力や嫌がらせで表現の自由が左右されることは不適切だと語った。

 日本マスコミ文化情報労組会議は、日本の映画業界がこれまでに経験したことがないほど、映画における表現の自由が侵されていると話している。

 上映を中止した映画館の1つ、銀座シネパトスを運営するヒューマックスシネマ(Humax Cinema Inc)の中村秋雄氏は、3月に同映画館の前で映画鑑賞中にも聞こえるほどの大声で右翼グループにより抗議が行われ、女性職員が身の危険を感じたことが上映中止の最大の理由だと語った。抗議行動は近隣の商業施設にも影響した。(c)AFP/Harumi Ozawa