「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ監督が死去
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【3月18日 AFP】(3月19日 一部更新、写真追加)1996年の『イングリッシュ・ペイシェント(The English Patient)』でアカデミー賞を受賞したアンソニー・ミンゲラ(Anthony Minghella)監督が18日、ロンドン(London)市内の病院で死去した。享年54歳。監督のマネージメントを行うJudy Daish Associatesによると、ミンゲラ監督は先週、同病院で首にできた腫瘍を手術を受け、18日早朝に出血多量のため死亡したという。
■叙情的な美しい映像で巨匠に
『リプリー(The Talented Mr. Ripley)』や『コールド マウンテン(Cold Mountain)』などのヒット作を手掛けたミンゲラ監督は、文学小説を叙情的な美しい映像で映画化することで知られている。
英国ワイト(Wight)島で、アイスクリーム店を営むイタリア系移民の両親のもとに生まれた。ハル大学(The University of Hull)で学び同校で教鞭をとったのち、『モース警部(Inspector Morse)』シリーズなどテレビドラマの脚本を書くようになる。
その後、映画『愛しい人が眠るまで(Truly, Madly, Deeply)』(1991年)を監督し、英国内で評判に。同作品は、アラン・リックマン(Alan Rickman)を主演に迎え、ある女性とその死んだ恋人との関係を描いた悲恋の物語。これがきっかけでハリウッド(Hollywood)界から注目され、のちに『イングリッシュ・ペイシェント』を手掛けるに至る。
レイフ・ファインズ(Ralph Fiennes)やジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)らを登用し、チュニジアとイタリアで撮影した『イングリッシュ・ペイシェント』は、監督賞を含むアカデミー賞9部門に輝き、ミンゲラ監督は米国でも一躍トップクラスの監督となった。
その後、ジュード・ロウとマット・デイモン(Matt Damon)出演の『リプリー』、ロウ、ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、レニー・ゼルウィガー(Renee Zellweger)出演の『コールド マウンテン』を手掛け、さまざまな評価を得た。
2006年には、ロウ演じるロンドンの建築家とボスニア人女性との恋愛を描く映画『こわれゆく世界の中で(Breaking and Entering)』のメガホンを取っている。
そのほかオペラの舞台監督も手掛けている。英国映画協会(British Film Institute)の会長も務め、2001年にはエリザベス女王(Queen Elizabeth II)から、名誉大英勲章CBEを受勲した。
■映画界・政界から哀悼の言葉
ミンゲラ監督の突然の訃報を受け、映画界だけでなく政界からも追悼の言葉が寄せられている。
ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相:「英国の最も偉大なクリエイターのひとり。最も素晴らしい脚本家で監督だったひとり。英国映画業界の雄で文学やオペラにも精通していた。彼がこの世を去ったのは大きな悲しみだ。彼の英国文化に対する多大な貢献は、この先もずっと忘れられることはないだろう」
トニー・ブレア(Tony Blair)英前首相:「最大の能力を備えた芸術家だった。素晴らしい人物であり、クリエイティブで聡明だったが、謙虚で紳士的でもあり、楽しい人だった」
ジュード・ロウ:「とてもショックを受けている。才能に溢れた脚本家で監督だった。ミンゲラ監督が書くせりふは巧妙に書かれ、スクリーンで見ると、いつも難なく言っているように見えた。彼のせりふを口にできるのは喜びだった。温かく明朗で親切で楽しい人だった。サッカー、オペラ、映画、音楽、文学、人間などすべてに興味を持っていたが、家族を一番愛していた」
マイケル・オンダーチェ(Michael Ondaatje、『イングリッシュ・ペイシェント』の原作者):「親友のひとりだった。常に寛容で、彼に近しい人物や一緒に働いている人を温かく包み込んでいた」
デヴィッド・パットナム(David Puttnam、映画制作者):「本当に素晴らしい人。英国の典型的なストリーテラーだった」
『イングリッシュ・ペイシェント』に出演したファインズによると、ミンゲラ監督は足首にギブスを巻いた状態で同作品のほとんどを撮影したが、「温かいユーモアと精密さ」は決して失わなかったという。「彼の作品は究極の孤独と、たとえ死の瞬間でも愛の力を描いている」とファインズは語った。
ミンゲラ監督の遺作となったのはアレグザンダー・マコール・スミス(Alexander McCall Smith)の小説(『No.1レディーズ探偵社』)をドラマ化した『The No 1 Ladies Detective Agency』で、23日にBBCで放映される。
振付師のキャロライン・チョア(Carolyn Choa)と結婚し、2人の子どもがいる。(c)AFP/Katherine Haddon
■叙情的な美しい映像で巨匠に
『リプリー(The Talented Mr. Ripley)』や『コールド マウンテン(Cold Mountain)』などのヒット作を手掛けたミンゲラ監督は、文学小説を叙情的な美しい映像で映画化することで知られている。
英国ワイト(Wight)島で、アイスクリーム店を営むイタリア系移民の両親のもとに生まれた。ハル大学(The University of Hull)で学び同校で教鞭をとったのち、『モース警部(Inspector Morse)』シリーズなどテレビドラマの脚本を書くようになる。
その後、映画『愛しい人が眠るまで(Truly, Madly, Deeply)』(1991年)を監督し、英国内で評判に。同作品は、アラン・リックマン(Alan Rickman)を主演に迎え、ある女性とその死んだ恋人との関係を描いた悲恋の物語。これがきっかけでハリウッド(Hollywood)界から注目され、のちに『イングリッシュ・ペイシェント』を手掛けるに至る。
レイフ・ファインズ(Ralph Fiennes)やジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)らを登用し、チュニジアとイタリアで撮影した『イングリッシュ・ペイシェント』は、監督賞を含むアカデミー賞9部門に輝き、ミンゲラ監督は米国でも一躍トップクラスの監督となった。
その後、ジュード・ロウとマット・デイモン(Matt Damon)出演の『リプリー』、ロウ、ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、レニー・ゼルウィガー(Renee Zellweger)出演の『コールド マウンテン』を手掛け、さまざまな評価を得た。
2006年には、ロウ演じるロンドンの建築家とボスニア人女性との恋愛を描く映画『こわれゆく世界の中で(Breaking and Entering)』のメガホンを取っている。
そのほかオペラの舞台監督も手掛けている。英国映画協会(British Film Institute)の会長も務め、2001年にはエリザベス女王(Queen Elizabeth II)から、名誉大英勲章CBEを受勲した。
■映画界・政界から哀悼の言葉
ミンゲラ監督の突然の訃報を受け、映画界だけでなく政界からも追悼の言葉が寄せられている。
ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相:「英国の最も偉大なクリエイターのひとり。最も素晴らしい脚本家で監督だったひとり。英国映画業界の雄で文学やオペラにも精通していた。彼がこの世を去ったのは大きな悲しみだ。彼の英国文化に対する多大な貢献は、この先もずっと忘れられることはないだろう」
トニー・ブレア(Tony Blair)英前首相:「最大の能力を備えた芸術家だった。素晴らしい人物であり、クリエイティブで聡明だったが、謙虚で紳士的でもあり、楽しい人だった」
ジュード・ロウ:「とてもショックを受けている。才能に溢れた脚本家で監督だった。ミンゲラ監督が書くせりふは巧妙に書かれ、スクリーンで見ると、いつも難なく言っているように見えた。彼のせりふを口にできるのは喜びだった。温かく明朗で親切で楽しい人だった。サッカー、オペラ、映画、音楽、文学、人間などすべてに興味を持っていたが、家族を一番愛していた」
マイケル・オンダーチェ(Michael Ondaatje、『イングリッシュ・ペイシェント』の原作者):「親友のひとりだった。常に寛容で、彼に近しい人物や一緒に働いている人を温かく包み込んでいた」
デヴィッド・パットナム(David Puttnam、映画制作者):「本当に素晴らしい人。英国の典型的なストリーテラーだった」
『イングリッシュ・ペイシェント』に出演したファインズによると、ミンゲラ監督は足首にギブスを巻いた状態で同作品のほとんどを撮影したが、「温かいユーモアと精密さ」は決して失わなかったという。「彼の作品は究極の孤独と、たとえ死の瞬間でも愛の力を描いている」とファインズは語った。
ミンゲラ監督の遺作となったのはアレグザンダー・マコール・スミス(Alexander McCall Smith)の小説(『No.1レディーズ探偵社』)をドラマ化した『The No 1 Ladies Detective Agency』で、23日にBBCで放映される。
振付師のキャロライン・チョア(Carolyn Choa)と結婚し、2人の子どもがいる。(c)AFP/Katherine Haddon