【1月31日 AFP】第80回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品には、イラクとアフガニスタンに関する作品が目立っている。

 ノミネート5作品中、『No End in Sight』、『「闇」へ(Taxi to the Dark Side)』、『Operation Homecoming: Writing the Wartime Experience』の3作品は、この2国の戦争について描かれたものだ。

 チャールズ・ファーガソン(Charles Ferguson)監督の『No End in Sight』は、2003年のイラク進攻から数か月間の同国における軍事活動を取り上げた作品。昨年の公開以来、すでに複数の主要映画賞を獲得している。ファーガソン監督自らこの映画制作に200万ドル(約2億1200万円)の資金提供をした。

 米軍基地内の拘置所でアフガニスタン人タクシー運転手が死亡した事実に迫るアレックス・ギブニー(Alex Gibney)監督の『「闇」へ(Taxi to the Dark Side)』は、拷問と取り調べにおける米国の方針をテーマにしている。作品広告ポスターが米国での掲載を禁じられたことに対しギブニー監督が「政治的検閲だ」と非難するなど、この作品は既に物議を醸している。同ポスターには、フードを被せられた拘束者とともに、カメラから離れていこうとする2人の米兵を写した写真が用いられていた。

 一方、『Operation Homecoming: Writing the Wartime Experience』は、イラクやアフガニスタンで戦った米退役軍人に発言の場を与えたことで称賛されている。収録されているのは、退役軍人のインタビューのほか、ロバート・デュヴァル(Robert Duvall)、ジョシュ・ルーカス(Josh Lucas)、アーロン・エッカート(Aaron Eckhart)ら俳優による、退役軍人の手記の朗読だ。

 そのほか、米国の医療制度を描いたマイケル・ムーア(Michael Moore)監督の『シッコ(Sicko)』、ウガンダの難民キャンプに暮らしダンスフェスティバルに参加する3人の子どもたちを描いた『War/Dance』がノミネートされている。(c)AFP