【1月22日 AFP】現在開催中の2008年サンダンス映画祭(2008 Sundance Film Festival)で、「American(アメリカの)」という言葉がタイトルに入った作品が3つも出品されている。『American Teen』、『American Son』、『An American Soldier』だ。

■「アメリカの」で始まるタイトルの作品3本

 Nanette Burstein監督による『American Teen』は、インディアナ(Indiana)州に暮らす4人の高校生の嫉妬、不安、友情、初恋、失恋、性、飲酒体験、親のプレッシャー、未来への葛藤などを描いたドキュメンタリー。同監督は、『On the Ropes』で1999年の同映画祭特別審査員賞を獲得している。

 Neil Abramson監督のドラマ『American Son』は、米海軍に入った青年が、イラク出兵を控え4日間の休暇を過ごし、成長していく過程を描いた作品。

『An American Soldier』でも、Usie一等軍曹に出会い軍隊に入った4人の高校生がイラクへ出兵する動機や後に入隊したことを後悔する様子などが記録されている。


■新兵募集の現実描いた『An American Soldier』

 同作を手掛けたEdet Belzberg監督は、当初『The Recruiter』というタイトルにする予定だったが、『An American Soldier』に変更した。だが、変更した当初は、似たようなタイトルの作品が存在するとは知らなかったという。

 Belzberg監督は、イラク戦争のまっただ中にこの作品を撮った。報道に満足できず、何が起こっているのかもっと知りたいと思いArmy Times紙を購読するようになり、ルイジアナ(Louisiana)州HoumaClay Usie一等軍曹を知ったという。同一等軍曹は、米国内でも新兵募集に最も成功している軍人のひとりだ。

 監督によると、手当や大学教育費のために入隊する者もいれば、ただ冒険したいという新兵もいる。

 同作品では、徴兵義務もなく、世間が戦争に反対している状況で新兵募集が直面する困難も描いている。国務省は10月、月別の新兵募集目標を達成したと発表した。同月の陸軍の新兵は4564人で目標の1%増し、海兵隊は2788人で2%増しだった。そのほかの米軍も最大で目標数の34%増を達成したという。

 だが、現実の新兵募集の状況は楽観的なものではない。、同作品には同じ町出身の4人の米兵がイラクで一度の攻撃で死亡したという事実も描かれている。さらに人気報道番組「60 Minutes」は新兵の25%、そしてイラクで死亡した米兵の40%が小都市出身だと伝えると、新兵への応募人数は次第に減少へ。こうした中、Usie一等軍曹は新兵募集の任務にひたむきに取り組む。

■現在のイラク駐留軍

 最近では、民主党がイラクからの撤退を求めている。その一方で、共和党は、イラクで武力衝突が減少したのは、駐留米軍を3万人増派したジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の政策の成果だと主張している。

 ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は17日、イラクからの米兵の撤退計画は順調だが、さらに撤退を進めるかどうかは、任務を引き継ぐイラク軍次第だと語った。

 Belzberg監督は、自身の政治的見解については、「複雑だ」と答え、自身がどちらの党を支持しているかについては明らかにしていない。このドキュメンタリーを撮った理由は、イラクで死亡した米兵の名前を新聞で見るたびに、暗い気持ちになったからだという。(c)AFP/Michel Comte