トッド・ヘインズ監督、ボブ・ディランの伝記映画『I’m not there』を語る
このニュースをシェア
【9月5日 AFP】第64回ヴェネチア国際映画祭(64th Venice International Film Festival)7日目を迎えた4日、トッド・ヘインズ(Todd Haynes)監督作のコンペティション部門ノミネート作品『I’m Not There』が上映された。
同作品はフォーク音楽の象徴、ボブ・ディラン(Bob Dylan)の伝記映画。6人の登場人物を通じてディランを描く野心作だ。ディランはどこにでも存在する人物として描かれる。監督は、映画は「夢のように頭をよぎる」作品で、観客にはディランの史実に固執せず、身を任せて観て欲しいと語った。
映画はマーカス・カール・フランクリン(Marcus Carl Franklin)演じる、自称ウディ・ガスリー(Woody Guthrie)という黒人孤児の登場で始まる。続いてケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)が男役を演じる人気上昇中のミュージシャン、ジュード(Jude)。ジュードは反戦歌を捨てロックに転向する。リチャード・ギア(Richard Gere)はなぞめいた人物ビリー(Billy)を演じる。ディランの人生と時代をそれぞれの登場人物が対照的に演じ、ディランがミュージシャン、大スター、カウンターカルチャーの象徴、信仰を新たにしたキリスト教徒、ディラン自身へと大きく変化した時代を呼び起こす。
映画は脚色、ドキュメンタリー、テレビの放送映像を通じて、ディランの性格や音楽の変遷を描く。それはアメリカ文化の歴史30年間におよぶが、「ボブ・ディランを定義づけ、またディラン自身が定義づけた」時代なのだとヘインズ監督はいう。
主題歌の『I’m Not There』は、1967年の『Basement Tapes』の中の1曲だが、アルバムは現在海賊版しか残っていない。ディランが66年、オートバイの事故から回復したときに制作された。監督はこの事故がきっかけで、ディランはスポットライトから逃れたのだという。サウンドトラックはほぼ全曲ディランの過去発表曲で、ディランの有名曲を現代アーティストが演奏した新バージョンが数曲含まれるほか『All Along the Watchtower』『Visions of Johanna』などの名曲で構成されている。
「この作品は(ディランが)誰が彼の人生を演じてもいいと認めた初めての映画だ」。ディランの人生を限定するのではなく、彼の人生を広げて描く開放的な構成がこの作品の誇れるところだと、ヘインズ監督はいう。『I’m not there』は「この映画を描くのに完ぺきな素晴らしい曲だ。彼に触れようとするといつも、彼はそこにいないんだ」と監督は語った。(c)AFP/Gina Doggett
同作品はフォーク音楽の象徴、ボブ・ディラン(Bob Dylan)の伝記映画。6人の登場人物を通じてディランを描く野心作だ。ディランはどこにでも存在する人物として描かれる。監督は、映画は「夢のように頭をよぎる」作品で、観客にはディランの史実に固執せず、身を任せて観て欲しいと語った。
映画はマーカス・カール・フランクリン(Marcus Carl Franklin)演じる、自称ウディ・ガスリー(Woody Guthrie)という黒人孤児の登場で始まる。続いてケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)が男役を演じる人気上昇中のミュージシャン、ジュード(Jude)。ジュードは反戦歌を捨てロックに転向する。リチャード・ギア(Richard Gere)はなぞめいた人物ビリー(Billy)を演じる。ディランの人生と時代をそれぞれの登場人物が対照的に演じ、ディランがミュージシャン、大スター、カウンターカルチャーの象徴、信仰を新たにしたキリスト教徒、ディラン自身へと大きく変化した時代を呼び起こす。
映画は脚色、ドキュメンタリー、テレビの放送映像を通じて、ディランの性格や音楽の変遷を描く。それはアメリカ文化の歴史30年間におよぶが、「ボブ・ディランを定義づけ、またディラン自身が定義づけた」時代なのだとヘインズ監督はいう。
主題歌の『I’m Not There』は、1967年の『Basement Tapes』の中の1曲だが、アルバムは現在海賊版しか残っていない。ディランが66年、オートバイの事故から回復したときに制作された。監督はこの事故がきっかけで、ディランはスポットライトから逃れたのだという。サウンドトラックはほぼ全曲ディランの過去発表曲で、ディランの有名曲を現代アーティストが演奏した新バージョンが数曲含まれるほか『All Along the Watchtower』『Visions of Johanna』などの名曲で構成されている。
「この作品は(ディランが)誰が彼の人生を演じてもいいと認めた初めての映画だ」。ディランの人生を限定するのではなく、彼の人生を広げて描く開放的な構成がこの作品の誇れるところだと、ヘインズ監督はいう。『I’m not there』は「この映画を描くのに完ぺきな素晴らしい曲だ。彼に触れようとするといつも、彼はそこにいないんだ」と監督は語った。(c)AFP/Gina Doggett